【連載第2回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)

投稿日:2026/07/08

2026年1月27日に、子どもに向き合う全国各地の支援者が学び/知見/意見をシェアするオンラインイベント「こども支援ナビMeetup」の第30回が開催されました。

今回は、認定NPO法人Learning for All (以下、LFA)の子ども支援事業部マネージャーである多田 理紗氏をお迎えし、「子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー」というテーマで、尼崎エリアの活動から、子どものレジリエンスを育むために工夫していることまで、幅広くお話いただきました。

イベントレポート第2回では、レジリエンスの考え方と子どものレジリエンスを育む実践についてお伝えします。

連載第1回はこちら:

【連載第1回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)
【連載第1回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)

プロフィール:多田 理紗(ただ りさ)氏
認定NPO法人Learning for All 子ども支援事業部 マネージャー。
同志社大学経済学部卒業。大学生当時、地元での原体験からLearning for All関西に参画し、非常勤職員として研修・現場運営責任者に従事。大学卒業後、民間企業を経てLFAに復帰。子どもの権利が守られ、地域の中で子ども・若者と家庭を包括的に支え、孤立することなく主体として生きる社会を目指す。困難を抱える子どもたちとかけがえのない日常を共に生きながら、今を生きる私たち市民が「事態はより良くなる」「声をあげれば社会は変えられる」と信じて、目の前の子どもから学び行動し続けたい。

レジリエンスとは何か

以前、こども支援ナビの研修にて児童精神科医の山口有紗氏がトラウマインフォームドケアの視点からレジリエンスについて説明してくださったので、そちらをご紹介させていただきます。

レジリエンスとは、とてもつらいことがあっても自分の内外の力や智慧を周りと協力しながら動員して自分のちょうどよい状態(ウェルビーイングの状態)を保つ力のことです。

最近は、レジリエンスとは子ども自身の力だけでなく、その子を取り巻く環境も含めて捉える考え方が主流になっています。そうした環境の中には、私たちが活動する居場所も含まれていると考えています。

そして、子どもたちの力を支えていく上で、「自分はここにいても大丈夫」「明日やその先も大丈夫」と感じられる安心感が重要だと言われています。

このような安心感を育んでいくために、子どもが自分でコントロールできる小さなルーティンを作ることや、自分で選択できること、自分の意見を安心して伝えられること、周囲の人と多様に繋がれることなどを大事にしながら、居場所づくりに取り組んでいます。

※レジリエンスについて詳しく知りたい方はこちら:

【連載第3回】児童精神科医 山口有紗さんに学ぶ「トラウマインフォームドケアの視点と実践 ― 私たちが知っておきたい『安全・信頼・つながり』」(オンライン研修)
【連載第3回】児童精神科医 山口有紗さんに学ぶ「トラウマインフォームドケアの視点と実践 ― 私たちが知っておきたい『安全・信頼・つながり』」(オンライン研修)

レジリエンスを育むための取り組み

ここからは、子どものレジリエンスを育むための実践についてお伝えしていきたいと思います。

1日のスケジュール

まず、1日のスケジュールの中で大事にしていることが2つあります。

  • 子どもたちが「活動」する時間は、子どもたちが自分の過ごしたい過ごし方を自分で選ぶことができる
  • 食事・歯磨き・掃除・帰宅時間を明確に定める


画像:認定NPO法人Learning for All 

食事や身の回りのことなどの生活リズムをあえて明確にしているのは、日々の生活の中に「変わらない日常」を作るためです。ルーティンが安定して続くことが、子どもたちの安心感に繋がると思うので、自由に選べる部分とあらかじめ決めている部分を切り分けて運営しています。

「安心」のために実践していること

その他、「安心」のために実践していることとして、

  1. 「子ども目線」のコミュニケーション
  2. 環境構成
  3. 「ルール」の決め方
  4. 子どもとの約束は必ず守る
  5. 「自分の場所」「自分のもの」があるようにする

の5つを心がけています。1つずつご説明いたします。

1.「子ども目線」のコミュニケーション

私たちは子どもの目線に立つことを大切にしています。私たちの考えだけで判断するのではなく、「子どもはどう感じているのか」「何をしたいと思っているのか」という視点から、支援や関わり方を考えるようにしています。

また、周囲から見ると困った行動が見られる場合であっても、その背景には誰かを傷つけたいという意図ではなく、「自分をもっと大切にしてほしい」「満たされたい」という思いや欲求があると捉えています。こうした子どもの内側にある気持ちを大事にするために、研修や日々の振り返りにも注力しています。

2. 環境構成

環境づくりの1つとして、空間ごとに名前をつけています。これは、子どもたちがそのときの気分や自分のニーズに合わせて、自分に合った場所を自分で選べるようにするためです。それぞれの空間には、「この場所ではこういう過ごし方をする」という基本的なルールを設けるとともに、その活動に合った環境を整えています。

例えば、体を思いきり動かせるスペースでは、いろいろなテープが引かれていて、ミニスポーツができるようにしています。また、サンドバッグも設置していて、イライラや怒りを感じているときは、人に向けるのではなく、安全に発散できるように意識しています。また、過度にテンションが上がりすぎないよう、床の色味を落ち着かせる工夫も取り入れています。

一方で、座って過ごすことを想定した空間では、クッションやソファを配置しています。床の色を変えるなど、視覚的にも他の空間と違いがわかるようにしています。


画像:認定NPO法人Learning for All 

※空間づくりについて詳しく知りたい方はこちら:

【前編】子どもが安全・安心に過ごせる「第三の居場所」の空間デザイン ~Learning for All の事例~
【前編】子どもが安全・安心に過ごせる「第三の居場所」の空間デザイン ~Learning for All の事例~
【支援方法を紹介】子どもが安心・落ち着いて過ごせる環境づくりのポイント5つ
【支援方法を紹介】子どもが安心・落ち着いて過ごせる環境づくりのポイント5つ

まとめ

今回は、多田さんに、レジリエンスとは何か、また子どものレジリエンスを育むための関わりについて伺いました。ポイントを以下にまとめます。

  • レジリエンスとは、つらいことがあっても自分の内外の力や智慧を動員し、自分のちょうどよい状態を保つ力のことである。子ども自身の力だけでなく、その子を取り巻く環境も含めた力を指すことが多い。
  • レジリエンスを高めるためには、自分自身が肯定される感覚や、その感覚が将来も続くと感じられることが重要。
  • レジリエンスを育むために、1日のスケジュールに子どもが活動を自由に選択できる時間と、食事や掃除など決まったことを行う時間を定めている。ある程度活動が固定された時間を作っている理由は、日常に「変わらなさ」を取り入れるためである。
  • 子どもの行動の背景にある気持ちを想像して接することや、子どもが気分に合わせて活動場所を選べることも大切である。

次回も引き続き、子どものレジリエンスを高めるために支援者ができることをお伝えします。

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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