【支援方法を紹介】子どもが安心・落ち着いて過ごせる環境づくりのポイント5つ

居場所や学習支援などの子ども支援拠点に集まる子どもたちの中には、ADHDや自閉症といった発達障害をもつ子やさまざまな発達特性をもつ子がいます。特性のある子どもとそうでない子どもが一緒に過ごす居場所で、どの子にとっても快適な環境を整えることはとても重要です。

そこで今回は、子ども支援拠点における具体的な支援の工夫をいくつかご紹介します。子どもが落ち着いて過ごせる環境づくりのヒントをお探しの方は、ぜひご一読ください。

物理的な環境の整備

刺激をできるだけ排除し、落ち着いて行動できる環境へ

子ども支援拠点を利用する子どもの中には、言葉や状況から想像することが難しかったり、周辺に注意を向けることが難しい子が一定数います。

そのため、支援拠点では子どもが気になってしまうもの(刺激)をできるだけ排除し、落ち着いて行動できるように環境を設定してあげることが重要です。

例えば、物の配置を考える際には、余計な刺激を極力減らし、分かりやすい空間設計にしましょう。ある拠点では、室内における外からの刺激を極力減らすために、玄関近くに高めのランドセルロッカーを配置したり、窓ガラスを曇りガラスにしたりしています。また、勉強する際には壁が正面になるようなレイアウトにすることで、勉強中に余計な刺激が入らないように工夫しています。


画像:NPO法人Learning for All 

こうした工夫により、以前は知っている人が外を通りかかったり風変わりな車が通ったりした際に外に飛び出そうとしていた子どもが、そうした行動を取らないようになるなど、子どもたちが安心・安全に過ごせる環境を作ることができました。

場所と活動内容を一致させる

勉強する場所や食事をする場所ごとにスペースを区切り、場所とそこで行う活動を紐付けることも、発達に特性がある子どもを安心させる工夫の一つです。

支援拠点では、それぞれのスペースに名前をつけたり、活動の内容をざっくり指定したりするという工夫が考えられます。例えば、「ひろば」ではアクティブな活動や遊びを、「アトリエ」では工作や読書など静かな活動を、「いこい」では食事や読書、休養などゆったりとした時間の過ごし方をしてもらうなどです。


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【前編】子どもが安全・安心に過ごせる「第三の居場所」の空間デザイン ~Learning for All の事例~
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ただし、なかには場所についてのルールが厳格に決まっていることにストレスを感じる子どももいます。そのため、子どもからの意見や訴えがあった場合は、例えば子どもの人数が少ない日はアトリエで遊ぶことを許可するなど、一時的に場所の使い方を変更することも検討できると良いでしょう。

また、クールダウンの際は、子どもが1人になりたがる場合は狭く落ち着ける場所へ行く、気分転換をしたそうな場合は散歩へ連れていくなどの工夫があります。

スケジュールの明確化

事前にスケジュールを明確にする

発達に特性がある子どもは、先を見通せない状況を苦手とするケースも多いです。そのため、自分が思っていた順番と違うことが起きたり、急な予定変更があったりするとよく混乱してしまいます。

こうした状況になることを防ぐには、事前にスケジュールを明確にしておくことが重要です。

例えば、ある拠点では、曜日ごとに遊びに行く公園を決めており、子どもたちもそれを知っています。ただし、先ほど述べた部屋の使い方と同様に、ある程度の変更は可能です。他の公園に行きたい場合は、他の子どもたちに確認したりスタッフと交渉したりして、周りの合意を得た上で変更することをルールにしています。


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また、スケジュールの伝える量や伝え方は、子どもによって工夫が必要です。

例えば、1日の予定を全て知っておいた方が安心する子どももいれば、適宜次の2つの行動を伝えられた方が動きやすい子どももいます。人によって安心できる状況が異なる場合は、それぞれに合ったやり方で伝えてあげることが大切です。

伝え方についても、「言葉で伝える」「絵が書いてあるカードで伝える」「時間割表で伝える」「子ども自身にメモを取ってもらう」など、一人ひとりの子どもに合った方法で支援してあげると良いでしょう。

活動内容・活動の流れの明確化

活動内容や活動の流れは、スケジュールと同様に「いつ・どこで・誰と・何を・どのような手順で・どこまでするのか(5W1H)」をあらかじめ明確化するのが効果的です。これらの情報がはっきりわかることで、子どもは落ち着いて活動できます。

ただし、5W1Hを一度にすべて言葉で伝えられると、情報量が多すぎて子どもたちが混乱してしまうかもしれません。

そのため、口頭ですべて伝えるのではなく、子どもが活動の流れをイメージしやすいように、絵やイラストを活用した説明書やポスターなどを用意すると良いでしょう。


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視覚的な分かりやすさ

子どものなかには、聴覚よりも視覚が優位なことが多く、言葉を聞いて理解するのが苦手なケースも多々あります。

そのため、視覚的に分かりやすいものを設置して、子どもが落ち着いて理解できる環境を整えてあげることが大切です。

環境整備の方法としては、例えば「しまうものの種類によって箱の色を分ける」ことが挙げられます。おもちゃは赤い箱、勉強道具は青い箱、というように箱の色ごとにものの種類を分けることで、片付けや整理整頓がしやすくなります。また、ものをしまう場所を統一し、常に同じ場所に片付けてもらうことも有効な工夫です。

引き出しや棚の中身を分かりやすく示すには、文字だけでなく写真やイラストも積極的に活用しましょう。支援拠点でできる工夫としては、おもちゃの収納を写真で明示し、片付けの際に子どもが迷わないようにするなどの方法があります。


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「特別扱いへの不満」に対する向き合い方

最後に、こうした工夫をした際に子どもが抱きがちな「特別扱いへの不満」との向き合い方についてです。

発達に特性がある子どもに対して何らかの工夫(合理的配慮)をしたとき、それが全員にとってメリットであれば他の子どもから不平不満が挙がることはほとんどありません。これまで紹介したことの多くは、発達に特性がある子どもに対してはもちろん、そうでない子どもにとってもメリットのある工夫でした。

しかし、工夫によってはどうしても誰かだけを特別扱いしているように見えてしまい、他の子どもたちから「ずるい」という声が挙がることがあります。この場合、合理的配慮の仕方や環境を工夫すると同時に、他の子どもたちの「ずるい」という考えにどのように向き合っていくのか、をしっかり考えることが大切です。

ある拠点では、「今挑戦したいことや頑張るべきことは人によって違う」ということを伝え、それぞれの子どもがそれぞれに必要なことに取り組めるように声かけをしています。

例えば、学年相当の勉強についていけない子どもに対して、「楽をしている」と非難する子どもがいたとしても、それが「今のその子」にとっての挑戦なのだということを理解すれば、その子を応援するようになっていくこともあります。

そして、「ずるい」と非難している子ども自身の認めてもらいたいことを賞賛したり、その子の頑張りを認める声かけもしっかりと行うなど、その子の気持ちの方向を、周りの子どもではなく、その子自身が頑張るべきことに向けるように工夫することも大切です。

それぞれの子どもが挑戦したいことや頑張るべきことに向けてエネルギーを注ぎ、お互いの挑戦を応援できるような雰囲気を作ることができると良いでしょう。

まとめ

今回は、発達障害をはじめとする子どもの苦手に対する具体的な支援方法をお伝えしました。ポイントを以下にまとめます。

  • 発達障害など、苦手をもつ子どもの支援においては、「物理的な環境の整備」「スケジュールの明確化」「活動内容・活動の流れの明確化」「視覚的な分かりやすさ」の4つが重要。
  • 特別扱いに対する不平不満が出た場合には、その子自身の認めてもらいたいことや頑張っていることに対して賞賛や承認の声かけをするなど、それぞれの子どもが挑戦したいことや頑張るべきことにエネルギーを注ぎ、お互いを応援し合えるような雰囲気づくりが大切

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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