前編では、一人ひとりの子ども達の目線に立ったコミュニケーションのために意識すると良いことについて取り上げました。本記事では、実際のコミュニケーションにおける具体的なスキルについて、過去のこども支援ナビの関連記事もご紹介しながらまとめます。
前編はこちら:
コミュニケーションのスキル
それでは、実際に子どもとコミュニケーションを取る際に有効なスキルを具体的に扱っていきます。扱うのは傾聴、Do Think Feel want、褒め・しかり、リフレームの4つです。
傾聴
拠点が子どもにとって安心空間となるために、子どもの声に耳を傾ける傾聴の姿勢が欠かせません。具体的なポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- うなずき・相槌
- リフレクティブリスニング:相手の話す言葉を繰り返す聞き方
- アクティブリスニング:相手の話す言葉の裏にある感情を想像し、相手の本心を明確にする聞き方
以上の3つを活用することで、子どもは「自分を理解してもらえている」と実感しやすくなるでしょう。以下の記事でより詳しく紹介しているため、是非ご確認ください。
Do Think Feel Want
「Do Think Feel want」は子どもとのコミュニケーションを振り返る際のフレームワークです。
具体的な「子どもが実際に取った行動:Do」から「その時したかった本質的な欲求:Want」まで段階的に想像してみることを通して、関わる大人の行動をどのように帰ればコミュニケーションが上手くいくのかを考えます。子どもの言動のみならず、教師の言動の背景にあった欲求についても振り返りを行うことで、さらに効果的な解決策につながります。
以下の記事でより詳しく紹介しているため、是非ご確認ください。
褒め・叱り
まず、褒めについてです。
相手の行動を称賛することだけが「褒め」とは限りません。相手の意欲を引き出すという点では、「欠席をしない」「カバンの中が綺麗」など、ともすれば当たり前だと思われてしまうことについて、「そうしてると知っているよ」と大人が言葉にして伝えることも含まれます。褒める際のポイントとして以下の3つが挙げられます。
- 子どもが努力した過程に目を向ける
- 子どもが認めてほしいところ(時間をかけて丁寧に行っていること、自分から口にすること、いつも実行していること、意識して変えているところなど)を褒める
- 子どもが自覚していない良いところを褒める
また、褒める際は「私は~と思うよ」と自分を主語にして伝える、「いつも~しているね」と「いつも」という永久言語を使って伝える、などの工夫をすることで、気持ちが伝わりやすくなります。
次に、叱りについてです。
「叱り」とは大人が子どもに期待する行動と子どもの実際の行動の差を、子どもに気づいてもらうための行為です。叱る際には、「子どもの行動が、その子が本来持つ良さにそぐわないから叱っているのだ」という心構えを忘れないようにしましょう。叱る際のポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- すぐに叱る
- 行動を叱る
- 叱り方を変える(例:「姿勢を正そう」と注意を促す~「してはいけない」と叱責する)
大人が子どもを叱った後の接し方も重要です。
- 子どもの行動が変化したことを確認し、その行動を褒める
- 子どもが叱られた行動を挽回するための機会を用意する
- 叱った場面とそれ以外の場面を区別する
以下の記事でより詳しく紹介しているため、是非ご確認ください。
リフレーム
最後に、リフレームについてです。リフレームとは、ネガティブな考え方を新しい視点でポジティブに解釈することを助けることです。例えば、「テストで60点しか取れていない」ではなく、「 60点も取れた」「半分以上とれた」と捉え直すことができます。
子どもたちが自分の行動や特徴、成果についてネガティブに捉えていたら、リフレームして伝えましょう。受け答えが非常にゆっくりな子どもがいたとしても 、丁寧に考えてくれていると肯定的に捉えることが出来ます。大人がそれを子どもに伝えてあげることで、彼らは焦ることなく安心して、自分で考えることができます。
一方で、リフレームの際にはポジティブな考え方を押し付けないよう注意しましょう。信頼関係や相手のネガティブな気持ちへの理解や、共感がないままにポジティブな言葉をかけても関係性が悪化するおそれがあります。傾聴の姿勢で子どもの話を聞きつつ、子どもが少しずつポジティブに捉えなおすことができるようにサポートできると良いでしょう。
まとめ
今回は、実際のコミュニケーションにおけるスキルについて扱いました。ポイントを以下にまとめます。
- 子どもとのコミュニケーションにおけるスキル
- 傾聴:相槌・うなずき、繰り返し・言い換え
- Do Think Feel Want
- 褒めのポイント
- 1. 子どもが努力した過程に目を向ける
- 2. 子どもが認めてほしいところを褒める
- 3. 子どもが自覚していない良いところを褒める
- 叱りのポイント
- 1. すぐに叱る
- 2. 行動を叱る
- 3. 叱り方を変える
- リフレーム:ネガティブな考え方をポジティブに捉えなおす声掛け
※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません
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