【連載第1回】お悩み共有会 ー子どもとの関係が悪くなったらどうする?ー

皆さんこんにちは。ライターの福田です。2021年5月にリリースしたこども支援ナビですが、皆様のお役に立てているでしょうか?

成功事例や「こうした方が良い!」というアドバイスは参考になる一方で、実行しようとするとうまくいかないこともあるかと思います。そういう時にうまくいっている事例ばかり見ると気が滅入ってしまいますよね。そこで、この連載では支援者の方々がどんな悩みを抱えて、そこからどんなことを学び取ったかを紹介していきます。

失敗から得た教訓を紹介すると同時に、「あ、意外とみんな悩みを抱えているんだ…。」「こんなのわからなくて当然か…。」と、少しでも肩の力を抜いてもらえるとライターとしてはありがたい限りです!

今回は、NPO法人Learning for All(以下、LFA)のスタッフに、学習支援拠点での子どもとのコミュニケーションで悩んだ例をお伺いしました。

お悩み共有者紹介

今回、お悩み体験をお話ししてくれるのは、LFAの学習支援スタッフをしていたAさんです。数年間のスタッフ経験の中で印象に残っている出来事をお話いただきました。

 

印象に残っている悩み

ーどんな悩みが印象に残っていますか。

1つの長机を挟んで2人の子ども(Bさん、Cくん)に同時に勉強を教えていた時のことです。2人とも不登校の子なのですが、Bさんが「不登校だと高校に行けないんでしょ?」と私に話をしてきました。その時、Cくんは気まずそうに下を向いていました。私は無理矢理話題を変えて、Cくんが嫌な思いをしないように努めました。

帰り際、Cくんに話しかけると、「もう学習支援拠点には来たくない。」と話し始めて、実際にそのあと2週間来なくなってしまいました。

久しぶりにやってきた時に、信頼できる先生に勉強を教えてもらったり、生徒のペアを変えたりしてなんとか安定して来てくれるようになりました。しかし、私とはそのあと半年間くらい話をしてくれませんでした。

悩みの要因

ーそこにはどんな原因があると思いますか。

もともと、私との関係性があまり良くなかったと思います。

Cくんは、自分のことを理解したつもりになっている人が嫌いみたいでした。しかし、私は、「学校行きたくない。」等の子どもの発言に対し「わかる。」と反応するのが口癖のようになっていました。共感したふりをされることがすごく嫌だったんだと思います。本人にも「(そのように反応されることが)嫌。」と言われたことはあったのですが、私はあまり気にせず続けてしまっていました。

また、BさんとCくんの関係性も良くなかったと思います。Bさんはよく遅刻してくる子で、いつも時間通りに来るCくんは不満を抱いていてもおかしくなかったなと思います。そのような関係性で「不登校だと高校に行けない。」という発言があったので、学習支援拠点に来るのが嫌になってしまったのだと思います。

 

同じ場面に戻れるならばどうするか

ー同じ場面に戻れるならばどうしますか。

まず、Cくんに「(共感したふりをされることが)嫌」と言われたことを肝に銘じておくべきだったと思います。

次に、Bさんが「不登校だと学校に行けない」と発言した時は、なぜ学校に行けないと思うのか、そう思ったきっかけや背景、Bさん自身の思いをまずは聞くべきでした。そしてその上で、知っている限りの知識でも「決してそんなことはないよ。」と伝えるべきでした。

私が無理に話題を変えたから、「あ、不登校だと高校に行けないんだ。」と思ってしまったのだと思います。

ちゃんとBさんの話を聞いて、応答していれば、隣にいたCくんもどうしてBさんがそんなことを言うのか知ることができると思うし、頑張れば高校にもきっといけるだろうと思えたはずでした。

また、不登校は決して悪いことではないと伝えるチャンスにもなったのではないかな、と今では思います。

そして、その後口を聞いてくれず無視され続けていた時も、例えば自分ではない他の先生に落ち着いて話を聞いてもらう等、やりようはあったと思います。自分との関係性が悪化したことで完全に落ち込んでしまいましたが、私は、何人もの関わる大人のうちの一人でしかありません。他のスタッフに頼って、学習支援拠点に前向きになってもらえるよう図っても良かったかもしれません。

 

悩んだ経験から学んだこと

ーこの経験からどのようなことを学びましたか。

まず、子どもがネガティブな感情を向けるものについては深掘りして聞いてみようと考えるようになりました。

なぜそんなに嫌な思いを抱くのか、その背景にはどんな出来事があってどんな価値観をその子は持っているのか、聞いてみることが大事なんだと思います。

また、他の人に頼ることも大事だと思います。子どもと自分との関係性が悪くなったとしても、他の人との関係性があればその子は孤立しないし、拠点にまた来てもらえる可能性はあります。自分との関係性がダメになったからといって絶望せずに、他の人を頼って子どもにとって過ごしやすい環境を作ることも大事なのかもしれません。

 

子ども支援に関わる皆さんへのメッセージ

ーこの記事をご覧になっている方にどんなことを伝えたいですか。

①子どもの思いに耳を傾け続ける

私自身はできなかったのですが、子どもがどう思っているか、常に耳を傾けることが大事だと思います。嫌なことがあった時に、どうして嫌なのか、どうしてその発言をしたのか、聞いてみることが大事だと思います。

②他の人に頼ってもよい

子どもに関わる大人は自分だけではありません。他の人との関係性に目を向けて、その子をサポートするのが大事だと思います。合わない大人がいても当然です。人と人の関係性だから、「うまくいかないこともあるさ。自分一人でなんとかする必要はない」と気軽に考えて余裕を持つほうがよいのではないかと思います。

今回は、子どもとの関係性が悪くなった方にお話を伺いました。次の連載以降も、引き続き支援者の方々のお悩みを紹介していきます。

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※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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