高校進学を考えている子どものいる支援団体必見!奨学金制度まとめ

高校進学にあたって、学費などの経済面を考慮するご家庭も多いと思います。高校受験を控えている受験生や高校生を支援している団体でも、経済的な支援についての情報をお探しの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「奨学金」と聞くと、大学生が対象である奨学金をイメージする人も多いと思いますが、実は高校生を対象とした奨学金も多種多様にあります。

今回は高校生を対象としている奨学金制度について紹介します。

奨学金の種類

奨学金とは、経済的理由で進学が難しい学生を支援するために与えられるお金のことです。世帯収入や成績等、助成元が提示した条件をクリアした学生のみを対象とすることもあります。奨学金には、「給付型」と「貸与型」の2種類があります。

給付型

給付型とは端的にいうと、返済不要の奨学金のことです。給付額は助成元によって異なりますが、例えば学費の全額給付、半額給付などがあります。

貸与型

貸与型とは端的にいうと、卒業後に返済する必要のある奨学金のことです。

団体によって異なりますが、利子のつかない奨学金と利子のつく奨学金があります。

「利子」とは、お金を借りた際、貸借した金銭に対して、お金を借りた額(元本額)と使用期間に比例して、一定の割合(利率)により支払われる金銭をいいます。

つまり、利子のつく奨学金を借りた場合、借りたお金の金額に上乗せして利子も支払うことになるので、同じ金額を利子のつかない奨学金として借りたときよりも多く支払う必要があります。

表:LFA作成

国公立・私立高校両方の生徒が対象の奨学金

国による支援金

高等学校等就学支援金

所得(2022年5月現在は、年収約910万円未満)等の要件を満たす世帯の生徒を対象とする、授業料に充てるための奨学金です。

この支援金を希望する場合は、基本的に文部科学省の高等学校等就学支援金オンライン申請システムe-Shienから申請する必要があります。

また、学校によってはオンライン申請ではなく紙媒体による申請の場合もあるので、紙媒体の申請を希望される場合は、まず進学先の学校に相談してみてください

種類:給付型

URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm

高校生等奨学給付金

国からの補助を受けて都道府県が実施しています。

所得等の要件を充たす世帯(生活保護世帯、低所得者世帯が対象)の生徒を対象とする、授業料以外の教育費(教科書費、修学旅行費など)に充てるための給付金です。

各都道府県によって申請方法が異なるので、希望される場合は、各都道府県の申請お問い合わせ一覧から該当する都道府県に連絡してみてください。

種類:給付型

URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1344089.htm

母子父子寡婦福祉資金貸付金

母子家庭・父子家庭や父母のいない20歳未満の子どもを対象とする、貸付金です。

この貸付金は用途に合わせて様々な種類があり授業料や書籍代などを対象とした修学資金、入学に必要な制服代や用具代を対象とした就学支度資金などがあります。

また、貸付金額は進学先が国公立なのか私立なのか、自宅から通うのか自宅外から通うのかなどの事情によって異なります(例えば私立の自宅外通学の修学資金の場合は、限度額月額5万2,000円)。利子はつきません

種類:貸与型

URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/23.html

地方公共団体による奨学金

日本学生支援機構のホームページから、地方公共団体等が行っている奨学金制度の情報を検索することができます。「対象の課程」で「高等学校」を選択し、さらにお住まいの地域や学校の種類などを選択して検索をかけると、お住まいの地域対象の奨学金制度を見つけることができます。

その他の奨学金

公益財団法人似島国際奨学財団の奨学金

学びたい意欲や能力がありながらも経済的に困窮している高校生のための奨学金です。全日制の高校生が対象で、WEBテストや書類審査、面接などの選考があります。そのほか、奨学金の支給中は毎月期限内に1〜2枚程度のレポート提出や年1回開催される交流会への参加が義務付けられます。支給額は月額4万円で約1年間支給されます。また、他の奨学金との併用も可能です。

種類:給付型

URL:https://www.nitori-shougakuzaidan.com/

公益財団法人日本教育公務員弘済会による奨学金

学資金の支払いが困難などの条件を満たした学生を対象とする給付金です。金額は50万円以内です。

申請方法等に関しては、各都道府県支部を窓口として行っているので、お住まいの都道府県の方に連絡してみてください。

種類:給付型

URL:https://www.nikkyoko.or.jp/business/about.html

あしなが育英会の奨学金

病気や災害、自殺等で親を亡くした子どもや障がい等で親が十分に働けない家庭の子どもを支える活動をしているあしなが育英会が実施している奨学金です。

貸与対象は、親が病気や災害(道路上の交通事故を除く)または自殺などで死亡、あるいは親が著しい障害を負っている家庭の高校生です。

金額は、国公立高校では月4万5,000円(内給付2万円・貸与2万5,000円)、私立高校では月5万円(内給付2万円・貸与3万円)です。いずれも利子はつきません。また、給付型のみ、貸与型のみという選択はできません。そして、他の奨学金との併用も可能となっています。

また、私立高校の場合は、入学一時金として30万円の貸与を追加で受けることもできます。

進学前(中学3年時)に予約をする予約募集と、在学中に申し込む在学募集があります。申請期限は、年3回あり、書類選考のみとなっています。

種類:給付型・貸与型

URL:https://www.ashinaga.org/scholarship/for-applicants/

生活福祉資金貸付事業の教育支援資金

都道府県社会福祉協議会が実施している奨学金です。必要な資金を他から借り受けることが困難である低所得者世帯を対象に貸し付けられます。

貸付額としては入学に際し必要な経費の場合は50万円以内、授業費等の修学するために必要な経費の場合は、月3.5万円以内となります。卒業後6か月の措置期間を得て、措置期間経過後20年以内に返済する必要があります。

連帯保証人は原則必要ですが、連帯保証人を立てない場合も貸付可能です。貸付利子については、連帯保証人を立てる場合は無利子となり、連帯保証人を立てない場合は年1.5%となります。

こちらの支援資金の申請に関しては、お住まいの市区町村社会福祉協議会が行っているので、まずはお住まいの市区町村社会福祉協議会にてご相談ください。

種類:貸与型

URL:https://www.tcsw.tvac.or.jp/activity/kasituke.html

交通遺児育英会による奨学金

保護者等が道路における交通事故で亡くなったり、著しい障がいのため働くことができなくなった家庭の高校生を対象とする、貸付金です。学力の基準はありませんが、保護者の収入条件があります

また、1家庭から何人でも応募することができるので、兄弟がいても利用しやすい制度となっています。

貸与額は、高校生1人に対して2万円、3万円、4万円のいずれかを選択することができます。です。入学一時金についても、20万円、40万円、60万円から貸与額を選択することができます。両方とも利子はつきません

申請に関して、進学前の中学3年生次に申請する予約募集と、在学中に申請する在学募集があります。そして、他の奨学金との併用も可能です。

種類:貸与型(一部給付型あり)

URL:https://www.kotsuiji.com/howto/

私立高校の生徒のみが対象の奨学金

いずれも東京都限定となりますが、以下の奨学金があります。

私学財団による授業料軽減助成金事業

東京都内に居住している私立の高校に通っており、財団が設けた世帯所得基準の条件をクリアする学生を対象とする給付金です。私立であれば、全日制、定時制課程、都認可通信制課程の高校生も対象となります。授業料の一部に充てることができます。

授業料負担軽減額は、所得等の状況や通っている学校の授業料によって異なります。

種類:給付型

URL:https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo.html

その他保護者負担軽減のための支援金や奨学金

東京都生活文化局のホームページに上記以外の様々な奨学金や支援金の制度が掲載してあります。

通信制高校の生徒のみが対象の奨学金

公益財団法人阿部育英基金の奨学金

人物・学力・家計の基準を満たし、在学校の推薦がある高校を対象とする給付金です。

給付額は月額1万円で、他の奨学金との併用はできません。在学校の校長から推薦後、奨学生募集のしおりと奨学生申込書を受け取るので、しおりを見ながら申込みの手続を行ってください。

種類:給付型

URL:https://www.zaidanhojinabeikueikikin.or.jp/

まとめ

今回は、高校生対象の奨学金制度について、国公立・私立高校双方の生徒を対象とするもの、私立高校の生徒を対象とするもの、通信制高校の生徒を対象とするものに分けてご紹介しました。

表:LFA作成

上記にある全国で使える奨学金に加え、お住まいの地域で使える奨学金の情報をまとめて子どもや保護者にお渡しできるよう準備しておくとよいかもしれません。また、自分で情報をまとめる余裕がない場合は、国が発行しているチラシや、お住まいの地域の社会福祉協議会が用意しているチラシ(例:東京都社会福祉協議会)、しんぐるまざあず・ふぉーらむ「教育費サポートブック」もご活用ください。

※本記事の内容は2022年5月時点の情報です

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