【これで解決!】「自分で解けた!」を増やす指導の5つのステップ~後編:演習からまとめ~

「【これで解決!】「自分で解けた!」を増やす指導の5つのステップ~前編:導入から解き方の説明~」に引き続き、子どもが学習内容を深く理解するための段階的な指導づくりについて取り扱います。

後編では、「We do(一緒に問題を解く)」「You do(子どもが自分で解く)」「まとめ」の3つのステップについて説明します。学習支援の目的や時間配分を考慮すると、問題を解く時間は指導のメインパートといえるでしょう。意図をもって教師の関わり方を変えるだけで、子どもの理解を効果的にサポートできるはずです。

前編はこちら:

【これで解決!】「自分で解けた!」を増やす指導の5つのステップ~前編:導入から解き方の説明~
【これで解決!】「自分で解けた!」を増やす指導の5つのステップ~前編:導入から解き方の説明~

「We do(一緒に問題を解く)」段階で確実につまずきを解消する

「I do(解き方の説明)」の次に、「We do(一緒に問題を解く)」ステップについて扱います。

子どもの学力にもよりますが、問題の解き方の説明をするだけでは、実際に解けることにはなりません。まず子どもが問題を解けるかどうかを確かめ、つまずきがあった場合には丁寧にフォローする必要がありますそして、つまずきがあれば適時「I do」段階に戻りながら子どものつまずきを解消しましょう。「一緒に確認しながら」解くという段階を踏むことで、誤った理解に基づいて演習を重ねてしまうことを防ぎ、正しい理解の定着につなげやすくなります。

「We do」では、まず説明の段階で扱った知識を確認し、子どもに問題を解いてもらいます。子どもの学力に合わせて、穴埋め問題にしたり教師が問いかけながら取り組んだりすることも良いでしょう。そして、「なぜその答えだと考えたのか」を問いかけ、子どもの理解度を把握しながら練習を重ねます時間の最後には、解決したつまずきを必ず1回改めて確認すると良いでしょう。

子どものつまずきを明らかにするための問いかけの仕方について、こちらの記事にまとめています。是非ご覧ください。

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画像:photoAC

「You do(子どもが自分で解く)」は子どもが自分の力を確認する貴重な時間

次に「You do(子どもが自分で解く)」の時間についてです。「We do」までの段階を経て、子どもは問題の解き方を理解し、実際に解くことが出来るようになっています。しかし、まだ「自分一人で問題を解く」経験が充分ではありません。学校のテストや受験などの本番で実力を発揮することが出来るように、子どもが自分一人で正解を導き出す経験を重ねられることが重要です。

演習前に再度確認を

演習前は、演習中に気をつけてほしいことを伝えましょう。「I do」の際に用いたステップや、「We do」の段階に見られた間違いなどについて再度確認することで、より充実した演習につながります。

また、見直しや途中式など、習慣化することが重要な事項についても確認を行いましょう学校のテストや受験といった本番においても実践できるようになるために、普段から意識することが重要です。

演習中は「本番」を意識して

また、演習の時間はなるべく声をかけないことが重要です。子どもが自分の力でどのくらい解けるのかを確かめるためや、学校のテストや受験といった「本番」に向けた実践経験とするためです。

そこで、解く時間を決めて時計を用意したり、「分からないところは飛ばしてもいいから、まず自分で取り組んでみよう」と声をかけたりと、それまでの時間と区別します。少し距離を置いて座るなど、子どものプレッシャーにならないようにする工夫もできると良いでしょう。


画像:photoAC

演習後にフィードバック

演習後は、まず子どもの頑張りを労いましょう。解き終えても解き終えなくても、頑張った姿勢を褒めることで、次も頑張ろうという意欲につながりやすくなります。

また、演習前に確認した「演習中意識してほしいこと」ができていたかどうかを確認しましょう。演習中の様子を観察して気づいたことを伝えたり、途中式などにおいて、今後工夫できる点を演習の結果をもとに子どもと一緒に考えたりします。そうすることで、単なる「問題を解いた経験」ではなく「今自分がどのくらいできているのか/できていないのか」「何が得意なのか/苦手なのか」を子どもが実感できる機会とすることができます。

次の指導につなげる「まとめ」

最後にまとめの時間についてです。まとめの時間では、子どもに学習内容が定着しているか、そして今日できるようになったことを一緒に確認することが重要です。

まず、その時間に学んだ新しい知識を子どもとおさらいし、子ども自身に言語化してもらうよう促しましょう特に演習でつまずいた場合には、そこで学んだことや注意すべきだと思ったことを言語化してもらいます。指導時間の終わりには子どもの集中力も下がってきてしまうので、繰り返し学びを確認することが重要です。

そして、その日に取り組んだことや新しく学んだことにもとづいて「その日頑張ったこと」を振り返りましょうその時間に達成できたことを認識し、また教師にも頑張りを認めてもらうことで、次の内容にも意欲を持って取り組むことができるようになるでしょう。

まとめ

今回は、子どもが自分で問題を解くことができるための5つのステップのうち、「We do(一緒に問題を解く)」「You do(子どもが自分で解く)」「まとめ」の3つのパートについて取り扱いました。ポイントを以下にまとめます。

  • We doにおけるポイント
    • 問いかけを活用しながら、子どもが正しい理解に基づいて問題を解くことができているかどうかを確認する
    • 子どもがつまずいていたら、適時「I do(解き方の説明)」を行いながら丁寧に理解を深める
  • You doにおけるポイント
    • 演習前に「I doで導入したポイント」および「We doで間違えていた箇所」、そして見直しなど「気を付けるべきこと」を確認する
    • 演習中は「本番」を意識して声をかけず、子どもが集中できる環境を整える
    • 演習後には頑張りを労い、演習前に確認した内容を実施できたかを振り返る
  • まとめにおけるポイント
    • 学習内容の定着につなげるため、その時間に学んだ新しい知識や次回以降に向けた改善点などを確認する

本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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