子どもに勉強を教えていると、授業の内容が子どもに思うように伝わらないという経験をしたことがあるのではないでしょうか?今回は、「子どもへの勉強の教え方」と題し、勉強を教えるときの心構えやポイント、子どもが内容を理解しているかを確認する方法について説明します。
子どもに勉強を教えるときに大切な心構え
支援現場にくる子どもたちの中には、学力が当該学年から遅れている子どもや、一度に学習できる分量が他の子どもと比べて少ない子どもがいます。このような子どもたちに勉強を教えるときには、目の前の子どもにとってどのような学習の方法(教え方)が適しているか、どのような説明が子どもにとって理解しやすいかを考えることが大切です。特に、大人にとって理解しやすい方法をそのまま子どもに当てはめてしまうと、子どもにとっては理解しづらい場合があるので、注意が必要です。
スモールステップの指導とは?教え方のポイント
子どもたちの中には、「境界知能」と呼ばれる知能水準の子どもがいることがあります。境界知能とはIQがおおむね71以上85未満(内閣府ホームページより)であることを指します。
境界知能の子どもたちの中には、ワーキングメモリが小さかったり、学習障害の傾向の子どもがいることがあります。ワーキングメモリとは、短い時間の中で情報を心に留めておき、もう一度思い出す能力のことを指します。また、学習障害とは、本人の努力の量とは関係なく、読み書きや計算など特定の領域で学習の遅れがある状態のことです。このような特性のために、理解することや覚えることに他の子どもよりも多くの時間を必要とすることがあります。
このような特徴は明確に定義づけられるものではなく、子どもによって得意・不得意の程度は様々です。そのため、子どもの特性に応じて勉強の教え方を工夫する必要があり、細かく段階化したスモールステップの授業を行うことが大切です。
スモールステップの授業を行う上で参考になるポイントを3つ紹介します。
(1)授業をできる限りスモールステップにする。例えば、整数だけの計算と分数が混じる計算を分けるなど。
(2)読み書きなどの特定の能力に配慮した授業を行う。例えば、文字を読むのが苦手な子どもに対しては、絵を用いて説明するなど。
(3)子どもの記憶に残りやすい教え方をする。例えば、子どもが好きなアニメと結びつけて説明するなど。
子どもへの問いかけのポイント
子どもが学習した内容を理解できていることを確認したり、躓いている箇所を把握するために、勉強を教える時には子どもに問いかけることを意識できると良いでしょう。
一方的に説明をした後に「ここまで理解できた?」「どこが分からない?」と質問するのではなく、子どもが深い理解をできるように、少しずつ知識を確認するような問いかけをしてみましょう。
例えば、「この問題を解くときのポイントを2つ覚えているかな?」と問いかけることで、子どもが学習内容のポイントを理解しているかを確認することができます。
また、子どもが問題を解き終わった後に、「どのように解いたのか教えてもらえる?」と大人が問いかけると、子どもは自分が解いた手順を説明してくれるでしょう。このように他の人に解いた手順を説明することを通して、問題に対する子どもの深い理解を促すことができます。
このような問いかけを通して、子どもが理解できていることや躓いている箇所を確認しながら、子どもの状況に応じて勉強を教え方を変えることを心がけましょう。
まとめ
本記事でご紹介した子どもへの勉強の教え方におけるポイントをまとめます。
- 目の前の子どもに適した授業やスモールステップの授業を行うポイントは3つ
(1)授業をできる限りスモールステップにする
(2)読み書きなどの特定の能力に配慮した授業を行う
(3)子どもの記憶に残りやすい教え方をする - 子どもの理解度を確認するために、授業のポイントや問題を解いた手順を子どもに問いかけながら授業を進める
スモールステップの授業や子どもへの問いかけ方の詳細を知りたい方はこちら
※資料出所
内閣府ユースアドバイザー養成プログラム
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/h19-2/html/3_2_8.html
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