どこが分からないんだろう?勉強のつまずきを特定・解消する方法

学習支援の現場では、子どもが問題を間違えた際に、子どもがどこでつまずいているのかを大人が把握しきれずに困ってしまう場面があるのではないでしょうか。そのようなときは、大人が想定していた箇所とは違ったつまずきをしているかもしれません。

今回は、子どもが問題を間違えたときに、子どもがつまずいている箇所をどのように特定し、解消すればよいのかについて、具体的な方法を紹介します。

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つまずきを特定してから解消する流れ

子どものつまずきを解消する手順は大きく2つです。

ステップ1:問いかけを通して子どものつまずきを特定する
ステップ2:つまずいているポイントを解説する

また、ステップ1で、より正確に子どものつまずきを特定したい方や、あらかじめ授業で扱う内容が決まっている方に向けて、問題を解くために必要な知識を洗い出す方法についても紹介します。

今回は下の図のような分数の問題の間違いを例にご説明します。

 

ステップ1:問いかけを通して子どものつまずきを特定する

子どもが問題を間違えているとき、まずは、子どもがどのような手順で問題を解いたのか、どのような理解をしているのかを、問いかけを通して大人が理解することが大切です。

つまずき特定のコツ①3つの問いかけ

つまずきを特定するための問いかけの種類は大きく3つあります。

(1)Howの問いかけ:「どのようにこの問題を解いたの?」
まずは、子どもがどのような手順で問題を解いたのかを大人が理解することが大切です。問題を解いた手順を子どもに問いかけ、子ども自身に言語化してもらいましょう。

(2)Whyの問いかけ:「どうしてこの計算をしたの?」
続いて、子どもがどうして誤った方法で問題を解いたのか、理由を確認することが大切です。大人から見ると誤っている方法だとしても、子どもは正しいと思っている可能性があるので、子どもがどのような理解をしているのかを確認しましょう。

(3)Ifの問いかけ:「もし〇〇の問題だったら答えはいくつになる?」
最後に、別の例題を子どもに提示し、子どもがつまずいている箇所を特定します。この際に、本来の問題よりも難易度の高い問題を提示すると、子どもがどこでつまずいているかを正確に特定できない可能性があるので、簡単な問題を提示しましょう。

今回の例題であれば、以下のような問いかけを通して、子どものつまずきを特定することができます。

つまずき特定のコツ②問題を解くために必要な知識を洗い出す

ここまでに紹介した問いかけを通して子どものつまずきを特定することができますが、さらに正確につまずきを特定しやすくなる方法をご紹介します。あらかじめ取り扱う内容が決まっている時は、その問題を解くために必要な前提知識を事前に洗い出しておくとよいでしょう

問題を解くために必要な前提知識を洗い出すためには、問題を解く手順を大人が一つ一つ言語化することが大切です。

例えば、今回の分数の問題であれば、以下のように整理できるかもしれません。

(1)分母が異なる分数同士を足すために通分をする必要があることが分かる。
(2)4と8の最小公倍数を見つけることができる。
(3)分母にかけた数を分子にもかけることができる。
(4)分母が同じ分数の足し算は、分子のみを足せばよいことが分かる。
(5)整数の足し算を正しく計算できる。

学習支援の現場に通ってくる子どもの中には、様々な事情から学習の遅れを抱えている子どもがいる場合があります。そのため、問題を解くために必要な前提知識を洗い出す際には、現在の子どもの学年の内容よりも遡って知識や手順を言語化することが大切です。今回の分数の計算は小学4年生で扱われることが多いですが、手順を言語化する際には、「整数の足し算を正しく計算できる」といった、小学校低学年の学習内容まで遡りましょう。

このように問題を解くために必要な知識・手順を事前に洗い出しておくことで、子どもが正しく理解している手順と誤って理解している手順を特定することができます。誤答例や問いかけに対する子どもの回答をもとに、子どもの理解を整理すると以下のようになります。

【つまずいている箇所】
(1)分母が異なる分数同士を足すために通分をする必要があることが分かる。
(4)分母が同じ分数の足し算は、分子のみを足せばよいことが分かる。

【理解している箇所】
(5)整数の足し算を正しく計算できる。

ステップ2:つまずいているポイントを解説する

子どものつまずきを特定した後は、子どもの正しい理解を促すために大人が解説をしましょう。

今回の例で、問題を解くために必要な前提知識を、学校で学習する順番に並べると下の図のようになります。

子どもは、整数の足し算を正しく計算することはできていますが、分母が同じ分数の計算ができない状態であるため、遡っておさらいする必要があります。場合によっては、分数とはそもそもどのような数であるのかという概念から丁寧に伝えるようにしましょう。

子どもに解説を行う際には、子どもごとに一度に理解できる量が異なることを大人が理解した上で、一度の説明で扱う内容を決めることが大切です。一度に理解できる量が他の子どもと比べて少ない子どももいるので、最小公倍数の求め方と通分のやり方の授業を2回に分けるなど、1回の授業で扱う量を調節しましょう。

まとめ

  • 子どものつまずきを解消する手順
    ①問いかけを通して子どものつまずきを特定する
    ②つまずいているポイントを解説する
  • つまずきを特定するための問いかけの種類
    (1)Howの問いかけ:「どのようにこの問題を解いたの?」
    子どもが問題を解いた手順を大人が理解する
    (2)Whyの問いかけ:「どうしてこの計算をしたの?」
    子どもが誤った方法で問題を解いた理由を確認する
    (3)Ifの問いかけ:「もし〇〇の問題だったら答えはいくつになる?」
    別の例題を子どもに提示し、子どもがつまずいている箇所を特定する
  • 問題を解くために必要な前提知識を事前に洗い出しておくことで、子どものつまずきを特定しやすくなる。その際に、子どもの現在の学年の内容よりも遡って知識や手順を言語化することが大切
  • 子どもがつまずいたポイントを解説する際は、子どもごとに一度に理解できる量が異なることを大人が理解した上で、一度の説明で扱う内容を決めることが大切

 

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