【後編】居場所づくりの始め方~拠点開設のステップ・運営のポイントは?~

「子どもの居場所」の形態は多種多様です。そのため「居場所づくりを始めたいけど、どのように始めたら良いのか分からない…」このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

そこで「子どもの居場所づくりの始め方」について、前編/後編に分けてご紹介いたします。

前編では、子どもの居場所づくりの目的や、多様な子どもの居場所の種類についてまとめました。

【前編】居場所づくりの始め方~居場所づくりの目的・多様な居場所の在り方とは?~
【前編】居場所づくりの始め方~居場所づくりの目的・多様な居場所の在り方とは?~

後編である本記事では、具体的な居場所拠点の開設までのステップや、運営のポイントについてまとめます。

※本記事は以下の動画記事に基づいて作成をしております。動画でご覧になりたい方は、以下の記事もご活用ください。

動画で紹介!居場所づくりの始め方~居場所づくりとは?拠点開設・運営のポイントは?~【入門編】
動画で紹介!居場所づくりの始め方~居場所づくりとは?拠点開設・運営のポイントは?~【入門編】

居場所拠点開設のステップ

居場所拠点開設の企画の基本は、①「目的・目標」②「いつ」③「誰と」④「どこで」⑤「何を」⑥「どのように」行うのか、の6つの要素となります。それぞれを関連付けて企画してみましょう。

※6つの要素については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

動画で紹介!子どもの支援を始めてみたいと思ったら【入門編】
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子どもの支援を始めてみたいと思ったら~準備・企画の初めの一歩~
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スケジュール

開設前の準備事項は、大きく分けて以下の2つに分かれます。

①拠点開設や運営方法の構築などの「場」の準備

②スタッフ・ボランティア募集や子ども募集などの「人」の準備

各種契約や必要な届け出は早めに行っておくと良いでしょう。

拠点開設までのスケジュールの例を以下にお見せします。

子どもの居場所の拠点開設までのスケジュールの例
画像:認定NPO法人Learning for All (以下、LFA)作成

あくまでも一つの例ですので、まずは自分たちの拠点に必要な準備事項を洗い出し、拠点のオープン時期に合わせて逆算してスケジュールを組んでみて下さい。

場所の準備

活動場所を選ぶ際には、以下のポイントをベースに、適切な場所をピックアップしてみましょう。

  • 目的
  • 受け入れる子どもの人数
  • 予算

場所を考える際の重要なポイントは、子どもたちにとって通いやすい場所であるか」ということです。特に小学生を対象とする場合、学区を念頭に場所を決めなければ、来てほしい学校の子どもが通いづらくなってしまうので注意が必要です。また、学区が広かったり、公共交通機関があまり発達していない地域の場合は、送迎も選択肢に入れる必要があるかもしれません。

また、他に考慮するポイントとして、以下のような観点があります。

  • 近くに公園など外遊びの場となる場所はあるか
  • 周辺の交通量や治安
  • 食事の調理場所は必要か
  • 勉強と遊びの空間を分けるなど、どのように空間を利用する予定なのか

居場所拠点の場所としてよく使われている場所は、以下の通りです。

学童・フリースペース・子ども食堂

  • 公民館などの公共施設
  • 賃貸
  • 地元のカフェやレストランなどの空き時間・空きスペース

プレーパーク

  • 地域内の公園や空き地
    ※拠点としての場所の利用については町会や自治体など、その地域の管理担当者に相談してみましょう。

子どもの居場所拠点として使う場所の例
画像:LFA作成

 拠点の場所が決まったら、事前に空間利用計画を立てると良いでしょう。何をどのように配置すれば子どもたちの学びや成長を促すことができるのか」「事故が発生しないように導線の配慮はどうすればよいか」を考えて、計画を立てましょう。

必要な物の準備

予算を念頭に、一日のスケジュールや子どもたちの過ごし方を想像して何を準備すべきか考え、購入の優先準備を決めましょう。子どもたちの様子を絵に描いてみると、「必要な物は何か」について想像しやすいかもしれませんまた、資金は常に潤沢にあるわけではないので、周りや地域住民の方から譲ってもらえる物はないか相談する、などの工夫も必要です。

人の準備(ボランティアスタッフ集め)

ボランティアスタッフ集めのポイントとして、以下のような多様な人材がいると良いでしょう。

  • 子ども対応経験者
  • 地域のことに詳しい人
  • 子どもたちにとってお兄ちゃん・お姉ちゃん的な存在になれる大学生
  • 保護者にとってアドバイスを求めたくなる先輩的な存在

多様な人材がいることで、拠点として様々なことに対応が可能になったり、アイデアも広がります。また、子どもたちも多様な大人と触れ合うことで、価値観や世界観を広げるきっかけとなるでしょう。

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居場所拠点の運営のポイント

居場所拠点運営に関するポイントについてまとめます。

安心・安全な拠点運営

安心・安全な拠点運営のためには、以下の目的を果たせるように事前に届出を行ったり、ルールやマニュアルを準備する必要があります。

  • 法律を守りながら支援を行う
  • トラブルを未然に防ぐ
  • 事故や災害などに適切に対応する

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チームワーク形成

多様な大人が参加することは拠点や子どものメリットになりますが、もちろん多様な大人が集まれば集まるほど、考え方や価値観の違いが生じますお互いの価値観を尊重するコミュニケーションを心掛けたり、定期的な振り返り・価値観の共有の場を設けることで、大人同士の相互的理解や強いチーム力を育むことを目指しましょう。

遊び・体験学習の設計

日常での経験、遊びや体験学習は、子どもたちの興味・関心の幅を広げたり、非認知能力の向上に繋げることができます。設計の際は「子どもたちがどうしたいか?」の視点から考え、大人が全てを決めるのではなく、子どもたちに意見を募ったり、ルールを子どもたち自身で決めてもらうのも良いでしょう。大人はあくまでもサポート役に徹することで、子どもたちの自主性や企画力、人の意見を聞く力などを育むことができます。

日常的な経験・遊びの例

掃除や配膳など身の回りのことを自分で行ってみることで、生活力が身についたり、効率よく物事を行うために工夫する力を身に付けるきっかけになります。また、楽しんで取り組むための工夫なども、子どもたちに考えてもらえると良いかもしれません。

日常の遊びであれば、虫取りで自然や未知のものと触れ合ったり、予算内で買い物をしてみるような経験も良いでしょう。人生ゲームが自分の人生を考えるきっかけとなることもあるようです。

子どもの居場所拠点における、日常の経験や遊びの例
画像:LFA作成

非日常的な経験・遊びの例

イベントの企画や社会見学などが挙げられます。餅つき大会などの伝統行事は文化を知るきっかけになりますし、豆まき・クリスマス会などの催し物で季節の行事を知ったり、子ども自身に企画をしてもらうことで企画力を育てることもできます。

地域のお祭りなどの行事への参加は、地域住民とのふれあいのきっかけともなるでしょう。子どもの興味に基づいて博物館や資料館に出かけたり、様々な職業の人と出会う場を設けることで、将来への夢や希望が持てることもあります。

子どもの居場所拠点における、非日常的な経験や遊びの例
画像:LFA作成

ご自身の拠点に合わせて、様々な経験の場や遊び場をぜひ取り入れてみて下さい。

まとめ

今回は、居場所拠点の開設までのステップや、運営のポイントについてご紹介しました。ポイントを以下にまとめます。

  • ①「目的・目標」②「いつ」③「誰と」④「どこで」⑤「何を」⑥「どのように」行うのか、の6つそれぞれを関連付けて企画する。
  • 拠点開設までに「場所の準備」と「人の準備」を行い、必要な契約や届け出は早めに行う。
  • 「子どもたちがどうしたいか?」という視点から遊び・体験学習の設計を行う。

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません。

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