【連載第2回】子ども支援を“点”から“面”へ―あらかわ子ども応援ネットワークに学ぶ、居場所支援と地域連携の具体的実践 ― (こども支援ナビ Meetup vol.31)

投稿日:2026/09/16

2026年5月26日に、子どもに向き合う全国各地の支援者が学び/知見/意見をシェアするオンラインイベント「こども支援ナビMeetup」の第31回が開催されました。

今回は、今回は、あらかわ子ども応援ネットワーク(以下、AKON)代表であり、一般社団法人子ども村ホッとステーション(以下、子ども村ホッとステーション)代表理事でもある大村 みさ子氏をお迎えし、「子ども支援を“点”から“面”へ―あらかわ子ども応援ネットワークに学ぶ、居場所支援と地域連携の具体的実践 ―」というテーマで、一人ひとりの子どもへの支援から、地域全体で子どもを支えるネットワークづくりまで、実践を発展させてきた過程と思いをお話しいただきました。

イベントレポート第2回では、子ども村ホッとステーションの活動内容と、支援で重視している「生活者の目線」についてお伝えします。

連載第1回はこちら:

【連載第1回】子ども支援を“点”から“面”へ―あらかわ子ども応援ネットワークに学ぶ、居場所支援と地域連携の具体的実践 ― (こども支援ナビ Meetup vol.31)
【連載第1回】子ども支援を“点”から“面”へ―あらかわ子ども応援ネットワークに学ぶ、居場所支援と地域連携の具体的実践 ― (こども支援ナビ Meetup vol.31)

プロフィール:大村 みさ子氏
元高校教師、区立小学校の支援員、区主催無料学習支援の会のスタッフを経験したことなどで、地域で子どもたちの支援をすることの必要性を強く感じ、地域の中の子どもたちの居場所として「子ども村ホッとステーション」を2014年に立ち上げた。

荒川区子育て支援課主催学習支援「学びサポート」コーディネイトスタッフ、荒川プレーパーク研究会代表を務める。

 

子ども村ホッとステーションの活動内容

子ども村ホッとステーションは、大きく10つの活動を行っています。活動の柱となっているのは、子ども村:中高生ホッとステーション、子ども村:ユニバーサルステーション、子ども村:放課後クラブですが、それ以外の活動もご紹介します。

1. 子ども村:中高生ホッとステーション

活動の原点となった、「子ども村:中高生ホッとステーション」です。木曜日の夜に開催し、小学生は19時まで、中高生は20時30分まで過ごすことができます。地域の若者や大学生など、子どもたちにとって身近なロールモデルとなる世代と交流し、夕食をともにする居場所となっています。食事は、荒川区更生保護女性会や地域の婦人会の皆さんにご協力いただいています。

居場所には、大学生や地域で活動する方、将来看護師を目指す若者など、さまざまな世代や立場の大人が集まっています。一緒に食事や遊びを楽しみながら交流することで、学校や家庭以外にも信頼できる大人と出会い、子どもたちの将来が広がると考えています。

また、子どもたちが学ぶためには、まず安心して「分からない」と言える関係性が必要だと気づきました。多くの子どもは学校で質問できず、授業が分からないまま過ごしていますが、私たちに「分からない」と素直に伝えられるようになるまで2年ほどかかると感じます。

しかし、信頼関係を築いてわからないところを教え、できるようになると「やればできる」という自信が生まれます。そこから、子どもたちは、勉強を「やらされるもの」ではなく、自分の未来を切り拓くためのものだと少しずつ実感していくのです。

2. 子ども村:ユニバーサルステーション

昼間には、「子ども村:ユニバーサルステーション」を開催しています。不登校の子どもたちを中心に、地域のさまざまな世代の大人が集い、交流できる居場所です。月・水・木曜日の10〜13時まで開所し、一緒に昼食を食べます。

高齢者と子どもが一緒に手芸やものづくりを楽しんだり、高齢者のスマートフォンの操作を子どもたちが手伝ったりするなど、世代を超えた交流も生まれています。そこでは、「ありがとう」と言い合える、お互いを支え合う関係が育まれています。

3. 子ども村:放課後クラブ

夕方には、学校に通っているものの、学校で居場所のなさやストレスを抱える子どもを主な対象とした「放課後クラブ」を開催しています。月・水曜日の16時30分〜19時まで活動しており、生活支援や学習支援を行っています。

放課後クラブでは、月に1回、子どもたちが夕食づくりに取り組む機会を設けています。献立を考え、買い出しをし、必要な食材や量を話し合いながら、自分たちで調理を進めます。自分の食事を自分でつくる力を身につけ、自宅でも実践できるようになることを目指しています。

4. 子ども村:アウトリーチ

不登校の子どもの自宅に出向き、居場所へ繋ぐ活動です。

5. 子ども村:オンラインステーション

今年度から始めた取り組みで、仮想空間でアバターという形で参加する居場所づくりを毎週水曜日に行っています。デジタル技術を活かすことで、子ども支援の可能性はさらに広がると考えていて、例えば将来的には進学や就職で地域を離れた子どもたちや遠方に住む人とも繋がり続けられる場になることを期待しています。また、デジタル分野を学ぶ大学生にも協力いただきながら、デジタル技術を生かした新たな子ども支援のあり方を模索しています。

6. 子ども村:オンライン保護者会

毎月1回、水曜日の夜に、居場所活動に参加する子どもの保護者を対象とした保護者会を開催しています。主にオンラインで実施していますが、年に2回は対面で集まり、直接交流する機会も設けています。参加者は母親が中心ですが、父子家庭の保護者が参加することもあります。保護者が子育てや子どもの成長に関する不安や悩みを共有し、新たな気づきに繋がっています。

7. 子ども村:荒川たんけんクラブ

不登校の子どもたちが、家庭や学校以外の場所でさまざまな大人と出会う場です。「世の中には面白い大人がたくさんいる」ということを伝えたいという思いから、さまざまな分野で活躍する方々のお話を聞きに行っています。これまでは、ミュージシャンのアトリエを訪問したり、ナマズの研究者から話を聞いたりしてきました。

学校ではさまざまな体験ができますが、学校に通っていない子どもは、学校行事や体験に参加する機会が限られます。だからこそ、新しい人や世界と出会える体験を、これからも続けていきたいと考えています。

8. 子ども村:ふぁみ〜る子育て交流サロン

0〜3歳の子どもと保護者を対象にした子育て交流サロン「子ども村ふぁみ〜る」を週3日開催しています。保護者同士が交流しながら、子育ての悩みや不安を気軽に話し合える場所です。

9. 相談カフェ

ネットワークで実施しているフードパントリーでは、食材を配布するだけでなく、保護者から相談を受ける「相談カフェ」も開催しています。

活動を行う中で、子どもだけでなく家族への支援が必要だと感じる場面は少なくありません。例えば、食材を受け取りに来た子どもの声から、保護者の体調不良や生活上の困りごとが分かることもあります。その際には、スタッフが保護者とも連絡を取り、地域の支援団体と連携しながら、お弁当の配達なども行っています。

10. 子ども村:生活支援

ひとり親家庭の生活支援を行っています。設立当初から行っている活動ですが、昨年度からようやく助成金がつくようになりました。

子ども村ホッとステーションの活動で大切にしていることの一つが、子どもたちの体験の機会を広げることです。荒川の土手での花火や水遊び、都内近郊でのフィールドワーク、棚田の保全活動への参加、大学のオープンキャンパス訪問など、一人ひとりが新しい人や場所と出会える機会を重視しています。

子どもの支援で重要な「生活者の目線」

私たちは、民間だからこそ生活者の目線で子どもや家庭に寄り添えると考えています。専門職として支援するのではなく、同じ地域で暮らす一人の生活者として関わることで、対等な関係を築きやすくなり、それが子どもや家族にとって安心できる居場所に繋がっていると感じています。

また、子どもや家庭の困りごとは、相談窓口が閉まる夕方以降や休日に起こることも少なくありません。時間にとらわれず、必要なときに寄り添えることも民間の強みだと考えています。

加えて、民間だからこそ、一人ひとりと長い時間をかけて関わることができます。そのため、一度の面談や指導で問題を解決しようとは考えていません。子どもの気持ちを何か月もかけて少しずつ整理しながら、納得できる答えを一緒に見つけていくことを大切にしています。

さらに、私たちは子どもでも大人でも、あるいは組織であっても、相手を評価したり決めつけたりするのではなく、まずはありのままを認めることを大切にしています。民間だからこそ、お互いを認め合う関係を築いていけると考えています。


画像:一般社団法人子ども村ホッとステーション

一方で、私たちの居場所だけで子どもの生活すべてを支えることはできません。だからこそ、行政や学校、地域の団体などと連携しながら、子どもたちを地域全体で支えるネットワークづくりが欠かせないと考えています。

まとめ

今回は、大村さんに、子ども村ホッとステーションの具体的な活動と、支援のポイントである「生活者の目線」について伺いました。ポイントを以下にまとめます。

  • 子ども村:中高生ホッとステーションでは、中高生の身近なロールモデルとなる地域の若者や大学生と交流し、夕食をともにする居場所である。
  • 子ども村:ユニバーサルステーションは、不登校の子どもや地域の多世代の大人が一緒に過ごし、お互いを支え合う居場所である。
  • 子ども村:放課後クラブは、学校に通っているものの、学校に居場所がなかったりストレスを抱えたりしている子が通う場で、学習支援や生活支援を行っている。
  • 民間の活動だからこそ、子どもや保護者に対等な目線や、時間に縛られない関係性で寄り添うことができると考えている。

次回は、AKON設立の経緯や、ネットワークだからこそ実現できる支援についてお届けします。

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

この記事は役に立ちましたか?