【後編】子ども支援拠点での保護者支援 〜保護者とのコミュニケーションや保護者面談のポイントを紹介〜

子ども支援拠点において、保護者との日々のコミュニケーションや保護者面談、保護者会などのイベントは、保護者との信頼関係を築く大切な機会です。

この記事では、保護者とのコミュニケーションのコツやポイント、また保護者面談の準備方法や内容、気をつけられると良いポイントなどについて、過去のこども支援ナビの記事にある事例も交えながらまとめていきます。保護者のサポートの仕方や保護者との面談をどのように進めていくかなどにお悩みの方は、ぜひご一読ください。

前編はこちら:

【前編】子ども支援拠点での保護者支援 〜基本のマインドセット・ポイントのまとめ〜
【前編】子ども支援拠点での保護者支援 〜基本のマインドセット・ポイントのまとめ〜

保護者との日々のコミュニケーションのコツ

保護者とコミュニケーションを取るときには、①話をする場所②スタッフ体制の2つのポイントを気を配ると良いでしょう。

①話をする場所

・保護者によって話しやすい場所を選ぶ
・「お疲れさまです」とスタッフが声をかけることで、コミュニケーションや悩み相談に繋がることも

②スタッフ体制

・保護者と話せるスタッフが玄関にいるように仕事を調整
・保護者にとって話しやすいスタッフがいる場合はそのスタッフが対応する

たとえば、玄関脇にソファを設置して保護者がそこに座ってくつろぎながら話せるようにしたり、オープンな場所で話すのが苦手な保護者は少しだけでも面談室に案内したり、という風に話の内容や保護者の状況によって話す場所を工夫できると良いでしょう。

また、保護者がお迎えに来る時間には、スタッフ同士で連携して保護者と関われるスタッフが玄関にいる体制を作ることも大切です。スタッフがゆったり対応できるようにすることで、保護者がコミュニケーションを取りやすい環境を整えられます。

保護者とのコミュニケーションを生み出す取り組み

保護者とコミュニケーションを取りやすくするには、きっかけ作りが大切です。

たとえば、子どもの作品や拠点での写真を見せたり、スタッフや他の子どもが気づいたその子のよかったこと・すごかったこと・褒めたいことを伝えたりすることで、保護者と話をするきっかけを作れます。実際に子どもを呼んでどんな状況だったのかなどを説明してもらい、子どもと保護者のコミュニケーションのきっかけとするのも良いでしょう。

また、保護者を褒めるとき、子どもを褒めるときに、両者が揃った場で褒めると、保護者と子どもがお互いを認め合える関係づくりのサポートにもなります。

保護者同士の繋がりを作るイベント例

保護者同士の繋がりを作るには、保護者会を実施するのが良いでしょう。保護者会は、子ども支援拠点を卒業するときに頼れる保護者仲間を作ることができる大切なイベントです。目的や内容、どのような環境を作るかを考え、積極的に実施できると良いでしょう。

また、拠点が実施するイベントで保護者にお手伝いをしてもらうのもおすすめですイベントの作り手として参加してもらうことで、保護者をエンパワーメントし、自己肯定感を高めることにも繋がります。

なお、NPO法人Learning for All(以下、LFA)の保護者会や保護者のイベント参加の事例・ポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。

【連載第3回】保護者支援 —保護者同士の繋がりを作る・NPO法人Learning for Allの実践事例—
【連載第3回】保護者支援 —保護者同士の繋がりを作る・NPO法人Learning for Allの実践事例—


出典:ソコスト

保護者面談のポイント

事前準備

保護者面談を実施する際には、以下のような事前準備ができていると良いでしょう。

①面談内容のシミュレーション 「面談の目的とゴール」「どんなことを聞いてどんなことと伝えるのか」をイメージしておく
②資料の準備 必要な資料は事前に印刷して手元に置いておく
③環境を整える 面談場所の清潔さ、静かさ、室温、飲み物、スタッフ体制などを確認

シミュレーションでは、「面談の目的とゴール」「どんなことを聞いてどんなことと伝えるのか」をイメージすることが大切です。

時間内に終わらせることも意識して、内容が多くなりそうな場合には優先順位をつけておきます。もし時間が足りなそうな場合は、面談を2回に分けることも検討しましょう。保護者の忙しさや性格に合わせて、適切な時間で面談できるように意識するのがポイントです。

シミュレーションの際に必要だと思った書類や資料は、事前に印刷して手元に置いておきましょう。また、重要なことを共有し損ねないように、その面談で聞きたいことや確認すること、必ず伝えたいことなどはメモしておくといいでしょう。

そして面談前には、部屋の清潔さや過ごしやすさに注意し、保護者が落ち着いて話ができる環境になっているかを確認しましょう。飲み物などを用意しておくと、リラックスできて良いかもしれません。

また、拠点で何か起きた時にも面談中のスタッフが席を外さなくていいように、スタッフ間で事前に情報共有し、体制を整えておくと、面談をスムーズに進められます。

面談に向かうときのマインドセット

面談は、スタッフが聞きたいことを聞いたり伝えたいことを伝えたりする場ではなく、保護者と「会話をする」場であることを意識できると良いでしょう。

保護者面談のときには、「あくまで面談は、人と人が会話をする、会話を楽しむものである」というマインドを忘れず話ができると、保護者にとってもスタッフにとっても心地よい形で面談を進めやすくなるはずです。

また保護者が話したくないこと、話しづらいことは根掘り葉掘り聞かない、ということも大切なポイントです。面談は保護者自身の時間も割いた貴重な場なので、可能な限り情報を集められることが望ましいですが、自分の悩みや家庭の状況を他者に話すことは勇気のいることです。保護者が話しづらそうにしているときは「今、お話いただかなくても大丈夫ですよ」「また話したいと思ったときにいつでも声をかけてください」などと声をかけ、保護者の心理的安全性を損なわないよう注意する必要があるでしょう。

入会前の面談のポイント


画像:NPO法人Learning for All

入会前の面談では、まず来てくれたことへの感謝を伝えられると良いでしょう。

保護者が何か悩みを抱えている場合、それを初対面の人に話すというのは誰にとっても難しいことです。保護者が心理的に安心安全で話ができる、と思えるようにするためにも、最初に感謝を伝え、スタッフ側が受容する姿勢を示すことが大切です。

次に、今日の面談の目的を伝えます。その後は、保護者の感じている困りごとから、会話の流れに合わせて様々な情報収集を行えると良いでしょう。

入会前の面談では、「保護者自身が何に困っているのか」を理解することが大切です。保護者との会話の中で、家庭での生活習慣や学校への登校状況などについても情報を集められると良いでしょう。また、「保護者自身はどうしたいのか」という保護者の希望も聞いておけると、今後保護者とスタッフが同じ方向を向いて子どもと関わっていくことに役立ちます。

なお、入会前の段階で子ども支援拠点としてできることとできないこともきちんと伝えておくことも大切です。これは、内容によっては自分たちの拠点で対応するのではなく、他の専門機関に繋いだ方がいい場合もあるためです。他の専門機関に繋いだ方がいいと判断したときには、「他の機関と連携したり、情報共有をする必要があるかもしれない」ということをしっかり伝え、保護者の同意を得ましょう。

面談の締めでは、今日話してもらった保護者の困りごとや希望を中心に内容を一緒に確認するのが良いでしょう。最後にしっかり話の内容を確認することで、保護者が「わかってもらえた」と安心して帰れる流れを作れるはずです。

通っている子どもの保護者と面談するときのポイント

通っている子どもの保護者への面談では、保護者とスタッフの二者面談だけでなく、子ども・保護者・スタッフの三者面談も行うと良いでしょう。

以下の関連記事では、三者面談のことを「大作戦会議」と呼び、ただスタッフと保護者が情報共有をする場ではなく、「子どもと保護者の気持ちをつなぎあう場、子どもと保護者とスタッフが同じ目標を共有する場」として実施しているLFAの事例をご紹介しています。

【連載第2回】保護者支援 —子どもと保護者との三者面談・NPO法人Learning for Allの実践事例—
【連載第2回】保護者支援 —子どもと保護者との三者面談・NPO法人Learning for Allの実践事例—

面談時にスタッフが心がけるべきポイント

面談時には、まずは子どもに関するポジティブな話から始め、保護者の緊張をほぐすことができると良いでしょう。そして、保護者からも自宅や学校での子どもの様子を聞き、最近成長したと思うことについてもできるだけ話してもらうようにすることが大切です。

例えば、日々の生活の中で忙しく子どもに怒ることが増えてしまっている保護者は、落ち着いて子どもの良いところを見つめ直す時間があまりとれていない場合もあります。そのため、面談時にじっくり時間をとって子どものこと思い出してもらうと、普段子どもに厳しい目線を浴びせている保護者でも、成長したと思える点や良いところを自ら見つけられることがあります。

この流れで保護者が自然に子どもを褒める機会を組み込めると、より良好な子どもと保護者の関係性のサポートにもなるでしょう。

一方で、マイナスな話をする必要がある場合は、できる限り端的にするよう意識しましょう。

そして、保護者や子どもについての意思決定の際には、スタッフが決めるのではなく、保護者と子どもが2人で決められるようにサポートできると良いでしょう。スタッフは「こうしてほしいっていってるけどどう?できそう?」「こうやったら頑張れるかもしれないけどどうかな?」などの声がけで、2人の意思決定をサポートしていくことが大切です。

また、今後の実施事項を決める際には、すぐにできる、具体的で小さいアクションに分解する作業をサポートができると良いでしょう。たとえば、「生活習慣を整える」ではなく、「夜10時には布団に入る」というような形です。あわせて、子ども支援の拠点でできそうなことがあればそれを提案しましょう。

スタッフがこのような関わりをすることで、保護者と子どもの関係性をサポートし、この先お互いの希望を実現するにはどうすれば良いのか、という具体的な案を立てることに繋げていけるでしょう。

保護者には、最後にいつでも相談してほしい旨を伝えておくと、安心して相談できる環境を整えられます。

まとめ

今回は、保護者とのコミュニケーションや面談におけるコツや具体的な方法を紹介してきました。ポイントを以下にまとめます。

  • 保護者との日々のコミュニケーションでは、話をする場所、スタッフの体制に注意する。
  • 保護者とのコミュニケーションを生み出す仕掛けや保護者同士の繋がりを作る仕掛けも積極的に企画する。
  • 保護者面談は、保護者としっかり時間をとって話せる大事な機会なので、事前の準備を入念に行う。
  • 面談では、スタッフが一方的に言いたいことを伝えるのではなく、「会話をする」という意識を忘れない。
  • 意思決定はスタッフが行うのではなく、子どもと保護者が一緒に決められるようにサポートをする。

保護者への適切なサポートは、子どもへのスムーズな支援にも繋がります。

子ども支援拠点で保護者との関わり方や支援方法についてお悩みの方は、ぜひ今回紹介したコツやコミュニケーション方法を参考にして保護者のサポートに取り組んでみてください。

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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