【連載第1回】NPOと学校の連携による子ども支援のあり方~Learning for All の事例~(こども支援ナビMeetup vol.3)

2021年8月29日(日)に、子どもに向き合う全国各地の支援者が学び/知見/意見をシェアするオンラインイベント「こども支援ナビMeetup」の第3回が開催されました。

本イベントでは、NPOと学校の連携による子ども支援のあり方について、葛飾区立大道中学校(以下、大道中学校)副校長である小菅 健氏をお呼びして、NPO法人Learning for All (以下、LFA)子ども支援事業部 宇地原とパネルディスカッションをしていただきました。

このイベントレポートでは、大道中学校とLFAが連携して行っている支援の内容について紹介した上で、小菅氏と宇地原のパネルディスカッションの内容を紹介します。

プロフィール:小菅 健
葛飾区立大道中学校副校長。

 

 

 

プロフィール:宇地原 栄斗
LFA子ども支援事業部マネージャー。LFAが葛飾区で展開する事業を担当。

 

 

大道中学校とLFAが連携して行っている支援

宇地原:大道中学校とLFAは連携して2つの支援を行っています。

①放課後の学習支援

学習の意欲はあるものの、自分で学習のつまずきを解消することが難しい子どもに対して、LFAの大学生ボランティアが1対1~1対3で学習のサポートをしています。場所は校内の教室をお借りしています。

②不登校の子どもに対する授業の時間帯での個別支援

今年度から開始した支援です。教室にいづらい子どもに対して、LFAから派遣した支援員が子どもの個別のニーズに合わせて支援をしています。場所は校内の教室外のスペースをお借りしています。

 

LFAと連携した支援を始めた理由

小菅:LFAと連携を始めたきっかけは、大道中学校の困り感にありました。一所懸命子どもの困りごとに対応をしたいけれど「モノ・金・時間・人」などのリソースが少なく、全て学校で対応することが難しい状況でした。

特に学習面についての困り感が大きかったです。勉強する環境が整えられていない経済状況や家庭状況の子どものサポートをするためには、学校ができることには限界がありました。そのため、当時の大道中学校の校長先生とLFAの代表の個人的な繋がりをもとに学習支援が始まりました。

 

LFAと大道中学校が連携することの意義

小菅:LFAと連携するメリットとして、民間団体であるからこその対応の速さがあると思っています。もちろん行政の方も子どもの学習のつまずきに対して問題意識を持っていますし、様々な学校からのSOSの声に対応すべく動いてくれているのだとは感じています。しかし、時期的な区切りの制限や予算・人には限りがあるため、行政主導の支援にはこちらが求めるようなタイムリーな対応は望めない場合があります。それに対して、民間団体のLFAが主導で進める支援は対応が速いと感じます。

宇地原:おっしゃっていただいた通り、目的に応じて柔軟に支援内容や方法を変えていくということがLFAの強みだと思っています。実際に、2020年度に入り新型コロナウイルスの感染が拡大した時にも、約1か月でオンライン授業の準備を整え、学習支援を続けさせていただきました。

また、NPOが単独で地域の中に深く入り込んで困難を抱える子どもに出会い、支援することの難しさを感じているため、学校を通して本当にニーズのある子どもたちと出会えることは、LFAにとっても大きなメリットであると感じます。

 

LFAと関係を長く続けていただいている理由

小菅:支援を始める前に、LFAから大道中学校に支援の内容を提示してもらっています。その中には、LFAが出来ることや危機管理マニュアル、新型コロナウイルスへの対応方針や具体策も含まれており、提示された内容を学校側で精査します。その内容が具体的であり、学校側に支援内容や子どもへの効果が目に見える形で提示されていることが信頼できる要因であると感じます。

宇地原:信頼関係以上に重要なものはないと思っています。学校と信頼関係を築くためにLFAとして心がけていることが大きく3つあります。

1つ目が、子どものことを第一に考える姿勢を崩さず、子どもにとってどういう意味があるのかをきちんと伝えることです。

2つ目が、支援の形態を決めるときに、学校の先生それぞれの考えや価値観、得意なこと・苦戦していることに配慮しながら、自分たちが出来ることを示すことです。

3つ目が、子どもに起きた良い変化を共有することです。子どもにとって意味がある支援になっていることこそが連携をする意義なので、そうなっているかを両者が認識し合うことが重要だと思っています。

小菅:実際に、LFAは、どのようなテストを子どもに実施しているか、また支援開始前と支援後で学力にどれだけの変化があったのかを伝えてくれています。そうした生徒の様子を必ず学校に伝えてもらい、担任と情報を共有することで保護者との三者面談に活かすこともできています。

 

まとめ

今回のパネルディスカッションを通して、NPOと学校が連携する上での信頼関係の重要性を改めて強く感じました。

第2回では、引き続きパネルディスカッションの様子を紹介します。LFAと大道中学校の連携についての今後の展望などについて話しています。

【連載第2回】NPOと学校の連携による子ども支援のあり方~Learning for All の事例~(こども支援ナビMeetup vol.3)
【連載第2回】NPOと学校の連携による子ども支援のあり方~Learning for All の事例~(こども支援ナビMeetup vol.3)

 

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

 

 

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