学習支援や居場所づくりなどの子ども支援の現場では、ボランティアの皆さんの活躍が不可欠です。一方、「募集してもなかなか必要な人数が集まらない」「そもそもどんなボランティアに来てもらうのが良いのだろう」「活動を開始してもすぐに来なくなってしまうボランティアが多い」など、人員に関する悩みは尽きないかと思います。
この記事では、ボランティア募集のためには事前にどんなことを考えておく必要があるのか、ボランティア募集にはどのような方法があるのかについてご紹介します。
※本記事は以下の動画記事に基づいて作成をしております。動画でご覧になりたい方は、以下の記事もご活用ください。
ボランティア募集の計画
子ども支援において、ボランティアの存在・活躍は欠かせないものです。また、ボランティアにとっても、子ども支援現場での活動がかけがえのないものになるよう、運営側が設計する必要があります。
ボランティア募集を行う前に、まずは募集計画を立ててみましょう。まずは企画を立て、それに即した募集方法を考え、研修やオリエンテーションの内容を考えていきます。
画像:認定NPO法人Learning for All (以下、LFA)作成
①企画
まず、拠点には何人の子供が通う予定なのかを考えたうえで、以下の論点について考えましょう。
- いつまでに何人のボランティアを集める必要があるのか
- 週何回、何時間の時間を使ってもらうべきか
- 拠点の目的の達成のためには、どのような姿勢・スキルを持ったボランティアに来てもらう必要があるのか
ボランティア募集のための広報物作成に備えて、自団体の「魅力」と「弱み」を整理してみるのも良いでしょう。以下の論点について考えてみましょう。
- 自団体の魅力をどう相手に伝えるか、
- 弱み・マイナスと捉えられる可能性のある要素(例:交通費はボランティアの自己負担、等)をどう補い、誠実に伝えられるか
②募集方法の計画
以下の論点について考えて、募集方法を考えましょう。具体的な募集方法の種類については、次の段落でご紹介します。
- 募集にいくら予算をかけられるのか
- 企画で洗い出した人材を集めるために最適な募集方法・媒体は何か
- いつから募集を開始すべきか
③研修・オリエンテーションの計画
以下の論点について考えて、事前オリエンテーションや研修の計画を立ててみましょう。
- 拠点目的を達成するために、ボランティアにどのような姿勢で活動に臨んでもらう必要があるか
- そのためにボランティアに事前に知ってもらいたいこと、学んでもらいたいことは何か
ボランティア募集の方法
募集方法には大きく分けて、インターネットを使用しない「オフライン」の方法と、インターネットを使用する「オンライン」の方法の2種類があります。予算や必要な採用人数、採用したい人物像によって、いくつかの手法を組み合わせて実施してみると良いでしょう。
画像:LFA作成
オフラインの募集方法
- 口コミでの募集
子ども支援をこれから始める、または始めたばかりの頃に実施しやすいのは口コミによる募集です。まずは自分の友人や、地域の知っている人に声をかけるところから始めてみると良いでしょう。既に関わってくれているスタッフやボランティアがいる場合は、彼らの周囲にも声をかけてもらうと良いでしょう。自分が知っている人がその場所で活動していれば、ボランティア参加へのハードルはぐっと下がります。また、周囲への声掛けに協力をしてもらうためにも、現在活動しているスタッフやボランティアにやりがいや充実感を持って活動してもらうことはとても大切です。 - 自治体や公共施設
社会人を含めて広く募集を行いたい場合、自治体のボランティアセンターに情報を掲載してもらったり、市役所や公共施設の掲示板にチラシを掲載させてもらうことも有効でしょう。 - 活動説明会
ボランティアに興味のある人へ向けた活動説明会を行ってみるのも良いでしょう。事前にしっかり説明を行い、参加者からの質問にも答えることで、参加者の不安を取り除いたり、お互いのやりたいことや望むことの齟齬を最小限に抑えることができます。 - 大学
大学生を募集の対象としたい場合には、大学内のボランティアセンターに協力してもらってチラシを配布してもらったり、説明会やワークショップの実施を提案してみるのも良いでしょう。その他にも大学内のボランティアサークルに告知をしたり、大学の教授に協力を仰ぎ、授業内で告知をさせてもらう例もあります。自分の大学の恩師や、ボランティア・スタッフの恩師から協力関係をつないでいけると良いでしょう。
オンラインの募集方法(無料)
- 自団体のウェブサイト・各種SNSでの告知
各種SNSにはユーザーの年齢層などに特徴があり、Instagramは主に大学生、Facebookは主に社会人をターゲットにするのが良いと言われています。また、Twitterや、相談受付専用のLINEアカウントを開設するのも良いでしょう。 - 参加しているスタッフ・ボランティア個人のSNSの告知
スタッフ・ボランティアに団体SNSの投稿をリツイート・リポストしてもらって周囲に情報を拡散してもらったり、大学のサークルやゼミのLINEグループに募集告知を投稿してもらうのも良いでしょう。
その時は、告知文はあらかじめ団体で用意するなど、なるべく個人に負担をかけないような工夫も必要です。また、SNSの使い方には個人差があるため、このような拡散を強要するのではなく、個人の希望を尊重するように注意しましょう。
オンラインの募集方法(有料)
- ボランティア募集サイトの利用
ボランティアに興味がある場合、まずは募集サイトから検索する人も多いので、選択肢に入れておくと良いでしょう。機能の一部を無料で使える募集サイトもあるので、インターネットで検索して比較検討してみましょう。 - 有料広告の利用
金額や指定できるターゲットの範囲など、それぞれの広告にはメリット・デメリットがあるため、自団体の予算や目的と照らし合わせて利用するのが良いでしょう。
実施後の振り返り
大切なのは、実施後の振り返りです。以下の論点を整理し、次回からの募集に活かしていきましょう。
- 実施した方法で目標人数・人材は確保できたのか
- 目標を達成出来なかった場合、その原因はどこにありそうか
- 次回募集時には何を変える必要があるのか
画像:LFA作成
まとめ
今回は、子ども支援のボランティアを募集する際の計画の立て方や、具体的な募集方法についてご紹介しました。ポイントを以下にまとめます。
- ボランティアの募集を始める前に、①「企画を立てる」②「募集方法を考える」③「研修やオリエンテーションの計画を考える」の順番で計画を立てる。
- 募集方法には大きく分けて「オンライン」と「オフライン」の2種類の方法があり、予算や必要な採用人数、採用したい人物像によって、いくつかの手法を組み合わせて実施してみると良い。
- ボランティア募集を実施した後は振り返りを行い、次回以降に向けた改善点を考えることが大事である。
※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません
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