「子どもたちのために、自分の地域でも学習支援/居場所づくり/子ども食堂を始めてみたいけれど、まず何から始めれば良いのか/考えれば良いのかわからない…」こども支援ナビでは、利用者の皆様からそんなお声をいただくことがあります。
この記事では、これから子ども支援を始めてみたいと考えている方々に、支援を始める前の準備や、企画を考える際に必要な要素についてご紹介します。
※本記事は以下の動画記事に基づいて作成をしております。動画でご覧になりたい方は、以下の記事もご活用ください。
1.地域を調べる
まず現時点で、地域にどのような子ども支援の資源があるのかを調べてみましょう。
自治体の取り組み
自治体のウェブサイトや、自治体委託業務の入札情報サイト等で、自分が住んでいる地域の自治体が、子ども支援のためにどのような取り組みを実施しているのかを調べてみましょう。
地域内の子ども支援団体の取り組み
地域内にどのような子ども支援団体が存在するのかについて、インターネット検索や、ボランティア検索サイトを通じて調べてみましょう。
子ども支援の種類には、学習支援や居場所拠点(学童やフリースペースなど)、子ども食堂などがあります。「地域の中でどのような活動があるか」「不足している支援は何か」について考えてみると良いでしょう。
子ども支援団体について調べた後には、実際の活動を見学し、どのような子どもが通っているのか、どのようなニーズがあるのかについて、話を聞いてみると良いでしょう。
ただし、団体によっては見学不可であったり、見学について制限があるところもあるため、事前にメールや電話で見学希望の旨を伝え、注意点は事前に把握をしておきましょう。
また、以下のような子どもの集まる場所に足を運んでみることも、子どもたちの行動を把握したり、支援の形を考えるために有効です。
- 児童館
- 公園
- 繁華街
- 駅前
その他、支援を始めるにあたって活用できる資源には以下もあります。自分たちのニーズに応じて把握しておくと良いでしょう。
- 中間支援団体(非営利活動団体の支援を行っている団体)
- 弁護士×NPOのマッチングサイト
- 子ども支援や対応に関する情報共有サイト
2.企画をする
「どんな子ども支援を実施したいか」についておおよその目安がついたら、次は具体的な企画を進めましょう。
企画にあたっては①「目的・目標」②「いつ」③「どこで」④「何を」⑤「誰と」⑥「どのように」支援を実施するのか、6つの要素を全て関連付けて考える必要があります。
画像:認定NPO法人Learning for All (以下、LFA)作成
一方で、実際に支援を始めてから見えてくることも多くあるので、最初から完璧な企画を作ることにこだわりすぎず、まずは小さく始めてみて、これらの6つの要素を振り返りながら運営を改善していくことも大切です。
①目的・目標
下記の問いを立てて「何の目的で、誰を対象にして実施するのか」「運営するうえで大切にしたいこと」を明確にしましょう。
- 支援の目的は何ですか?
- 誰を対象に実施しますか?
- 運営するうえで大切にしたいこと(指針)は何ですか?
画像:LFA作成
これが、全ての企画の指針となります。特に「大切にしたいこと」については、スタッフ全員で話し合い、みんなが納得できるものになると良いでしょう。
目標については、下記の問いを立てて「何人の子どもに対して、いつまでに、どのような結果をもたらすことを目標にするか」を決め、成功の一つの定義とします。
- 拠点運営が成功したといえるのはどういう状態ですか?
- 上記の成功をどのように測りますか?
画像:LFA作成
まずは実現可能な目標を定め、着実な運営を目指すことが大切です。
また、仮に目標が達成できなかったとしても、「なぜ達成できなかったのか」「そもそも目標に定めていることが本当に必要な成功の定義になっているか」を振り返り、改善に役立てていくことが大切です。
②何を
下記の問いを立てて「目的・目標のためには、子どもたちにどのようなサービスを提供する必要があるのか」「その実施のために必要な物資は何か」を洗い出します。
- 子どもたちには何を提供しますか?
- そのために必要なものは何ですか?
画像:LFA作成
具体的なサービス内容を決めたら、拠点内での一日の流れの例を組んでみると良いでしょう。また、一日の各時間の中での、各スタッフの役割も定めておくと、スムーズな拠点運営につながります。
③いつ
拠点の開始目標時期を定め、そこから逆算して「いつまでに何をする必要があるのか」を明確にしてスケジュールを組んでいきましょう。
画像:LFA作成
④どこで
「定めた目的・目標のためには、どのような場所を確保する必要があるのか」を考えましょう。
子ども支援によく利用される場所としては、公民館などの公共スペース、賃貸の物件があります。子ども食堂の場合は、地域の食堂やカフェの空き時間を利用することもあります。
⑤誰と
実施事項や子どもの受け入れ人数に合わせて、「拠点運営のためにはどのような人員体制が必要になるか」「何人のスタッフ・ボランティアが必要になるのか」を考えましょう。
また、それぞれの役職の役割を、できるだけ具体的に定めることも大切です。役割を明確にすることで「活動を始めてみたら、思っていた仕事内容と違った」というトラブルを防いだり、それぞれが自分の役割に自覚をもって活動を行うことができます。
画像:LFA作成
また、拠点内の人員の他に、地域内の関係者についても整理しておくと良いでしょう。
- 自治体のケースワーカー
- 学校の先生
- 他の民間団体
- 町会長
- 地域住民 など
「どんな人たちが子どもたちと関わっているのか」「協力してもらえそうな人がいるのか」について考えましょう。
画像:LFA作成
⑥どのように
具体的な実施の手法を考えます。
事業の運営方式
運営方式には大きく分けて「自主事業」と「行政との委託事業・協定事業」の2つがあります。自分たちの目的や運営体制に合わせて選択をしましょう。
①「自主事業」
- 全て自分たちの裁量で実施が可能。
- 資金調達や子どもの募集などは全て自分たちで行う必要がある。
②「委託事業・協定事業」
- 行政からの委託金があったり、子どもの情報を行政から直接受け取ることができる場合もある。
- 委託仕様書の履行が必要なので、ある程度の人員体制・運営体制が整っていないと難しい場合もある。
資金
「自分たちの活動に必要な資金はどのくらいなのか」「資金をどう確保するのか」を考えましょう。
資金調達方法には、大きく分けて「助成金」と「寄付金」の2つがあります。
①「助成金」
主に国や自治体、企業が運営する基金団体などが定期的に公募を実施しています。
インターネットで「子ども支援」+「助成金」等で検索すると、様々な情報が出てきます。初めて拠点運営を始める場合、まずは10万円程度の少額な助成金から申請してみるのが良いでしょう。
②「寄付金」
個人からの単発寄付や月額寄付(マンスリーサポーター)、企業からの寄付、クラウドファンディングなどがあります。
まずは立ち上げ資金として、少額のクラウドファンディングを行ってみたり、ウェブサイトで個人寄付を募るところから始めてみると良いでしょう。
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拠点の運営方法の構築
拠点を実際に運営するにあたり、以下について決定・実施する必要があります。
- 拠点開設の告知や、子ども募集
- スタッフ・ボランティアの募集
- 年間予定表やスタッフのシフトの設計
- 拠点内での危機管理ルール・運営ルールの設計
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まとめ
- 子ども支援を始めたいときは、まず自分が住んでいる・活動を行いたい地域についてよく調べる。
- 必要な6つの要素(目的・目標、何を、いつ、どこで、誰と、どのように)を全て関連付けて支援の設計を行う。
※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません
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