【連載第3回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)

投稿日:2026/07/15

2026年1月27日に、子どもに向き合う全国各地の支援者が学び/知見/意見をシェアするオンラインイベント「こども支援ナビMeetup」の第30回が開催されました。

今回は、認定NPO法人Learning for All (以下、LFA)の子ども支援事業部マネージャーである多田 理紗氏をお迎えし、「子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー」というテーマで、尼崎エリアの活動から、子どものレジリエンスを育むために工夫していることまで、幅広くお話いただきました。

イベントレポート第3回では、第2回に引き続き、子どものレジリエンスを育む取り組みについてお伝えします。

連載第1回・第2回はこちら:

【連載第1回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)
【連載第1回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)
【連載第2回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)
【連載第2回】子どものレジリエンスをどう育むかー児童育成支援拠点事業を活用した、Learning for All の実践ー(こども支援ナビ Meetup vol.30)

プロフィール:多田 理紗(ただ りさ)氏

認定NPO法人Learning for All 子ども支援事業部 マネージャー。
同志社大学経済学部卒業。大学生当時、地元での原体験からLearning for All関西に参画し、非常勤職員として研修・現場運営責任者に従事。大学卒業後、民間企業を経てLFAに復帰。子どもの権利が守られ、地域の中で子ども・若者と家庭を包括的に支え、孤立することなく主体として生きる社会を目指す。困難を抱える子どもたちとかけがえのない日常を共に生きながら、今を生きる私たち市民が「事態はより良くなる」「声をあげれば社会は変えられる」と信じて、目の前の子どもから学び行動し続けたい。

レジリエンスを育むための取り組み

「安心」のために実践していること

3.「ルール」の決め方

ルールは、「大人の都合で子どもを縛るもの」ではなく、大人と子どもが一緒により良い活動をするためのものだと考えています。そのため、子どもの声から変えられることを大事にしています

一方で、必ず守るべき原則も設けています。これは、子どもたちの安心と安全を守るためのもので、暴力暴言や命に関わる行為、差別的な言動、法律を犯す行為、権利侵害に関わる行為は許容せず、毅然と対応しています。

ただし、そうした行為に至った背景にある思いは丁寧に受け止めます。つまり、子ども自身やその気持ちを否定はしないものの行為は絶対に認めないという姿勢を徹底しているのです。

そして、ルールを体現するために「工夫して」と「大人に相談して」を合言葉にしています。というのも、子どもたちは学校や家庭での経験から、「ルールは全て守らなければいけない」と捉えていることが少なくないからです。「ルールを変えていい」と伝えても、自分から動くことに戸惑う場面も見られます。

そこで、何かうまくいかないことがあったときには、まず「工夫してみよう」と伝えています。そして、変えたいことがある場合には、「大人に相談していいよ」と声をかけています。

子どもたちの声が尊重され、拠点の運営にも反映されることで、安心感や創意工夫意欲が生まれ、自分が認められているという感覚に繋がっていきます。最終的には、子どもたち自身が「自分たちでこの場をつくっている」と感じられるようになることを大切にしています。

※ルールづくりについてより詳しく知りたい方はこちら:

【前編】子どもの居場所に「ルール」って必要?安心・安全を守るルールづくりの考え方〜NPO法人Learning for Allの事例〜
【前編】子どもの居場所に「ルール」って必要?安心・安全を守るルールづくりの考え方〜NPO法人Learning for Allの事例〜

4. 子どもとの約束は必ず守る

約束を守ることは、拠点で特に重視していることの1つです。被虐体験のある子どもの中には、家庭や学校での経験を通して、大人が約束を守ってくれなかった体験を重ねてきた子も少なくありません

こうした体験が続くと、自分自身や周囲を信じることが難しくなり、自己肯定感にも影響していくことがあります。そのため、子どもと話したことや約束したことは、必ず守るという姿勢を大切にしています。また、特定の大人との約束にとどまらないよう、子どもに確認した上でスタッフ間でも共有し、誰が関わっても約束が守られるようにしています

こうした積み重ねを通して、「大人に話してみてよかった」「大人って信頼できるかもしれない」と感じてもらい、少しずつ大人との信頼関係を築いていけることを目指しています


画像:認定NPO法人Learning for All 

5.「自分の場所」「自分のもの」があるようにする

居場所はみんなで過ごす場で、基本的には「みんなのもの」ですが、その中に「自分の場所」や「自分のもの」を持てるような工夫も重視しています。

例えば、一人ひとり専用のロッカーや下駄箱、名前のついたコップや歯ブラシなどを用意し、共用だけでなく「自分のもの」があることを意識しています。こうした環境は、自分の居場所があるという安心感や喜びに繋がるだけでなく、自分のものを大切に使う経験を通して、衛生感覚も養われていくと考えています。

ポジティブな体験のために居場所でできること

第1回でもお伝えしたように、ポジティブな体験を積み重ねていくことは非常に重要だと考えています。最後に、そのために大事にしている点をご紹介します。

まず1つめは、子どもの声から企画を考えること、そして子ども自身も企画することです。別の言い方をすると、子どもの「楽しそう」や「やりたい」という気持ちを大切にすることです。

2つめは、そうした声をできるだけタイムリーに実現していくことです。もちろん、子どもと相談しながら進めることや、支援者側が無理をしないことを前提としつつ、小さなことでも「言ったことがすぐに実現した」という体験を重視しています。例えば、先日急に「クッキーを作りたい」という声が上がったので、その日のうちに材料を買いに行き、一緒に作ったこともありました。

また、こうした活動は大人も全力で楽しむ姿勢を大切にしています。その上で、イベントを企画する際には、その取り組みを通して子どもたちにどのような経験や力を届けたいのかを意識しています。


画像:認定NPO法人Learning for All 

まとめ

今回は、多田さんに、子どものレジリエンスを育む支援者の関わり方について伺いました。ポイントを以下にまとめます。

  • ルールを決める際は、子どもの声から変えていくことを大事にしている。子どもの声が拠点のルールに反映されることで、自分が認められているという感覚に繋がる。
  • 虐待を受けてきた子どもは、大人が約束を守ってくれなかった経験をしていることも多いため、子どもとの約束は必ず守るようにしている。
  • 居場所は共用の場所であるが、自分のスペースやものがあることも大切にしている。自分のものを大事に使うことで、衛生感覚も養われていく。
  • 子どもの声からイベントを企画することや、タイムリーに子どものやりたいことを実現すること、そして大人も居場所の活動を全力で楽しむことを心がけている。

次回は、質疑応答の模様をお届けします。

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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