「【前編】子どもの自主的な学習のために 〜学習計画作成のポイントを知る〜 」に引き続き、子どもの自主学習のサポート方法についてご紹介します。
実際に自分で学習を進める際には、ノートの使い方や暗記方法、答え合わせの方法などについて、それぞれのポイントを子ども自身が理解していることが大切です。今回は、それらの主なポイントを紹介していきますので、ぜひ子どもにアドバイスをする際に活用してみてください。
前編はこちら:
ノートの使い方のポイント
始めに、自主学習の際に使用することが多いノートの使い方についてご紹介します。学習支援の現場ではプリントで学習を進めることもあるかもしれませんが、学校ではノートをメインに使って学習していることも多いです。自主学習に向けての練習として、居場所拠点や学習拠点での学習でもノートを使うことを検討してみるのも良いかもしれません。
ノートの使い方のポイントは以下の7つです。
1つ目は、ノートを一定の方向に書く習慣をつけることです。横の罫線が入ったノートでは左上から右下に、縦の罫線が入ったノートでは右上から左下に書きます。ノートの書き始めにはまとまっていても、途中からぐちゃぐちゃになってしまう子どももいます。そのような場合には、ノートを分割して「教科書のページをメモする部分」、「問題を解く部分」などを書く場所を決めるようアドバイスしてみると良いかもしれません。
画像:LFA作成
2つ目は、罫線に従ってノートを取ることです。字が斜めになったり、罫線の幅を無視したりすると、振り返りの際に見にくいノートになってしまいます。罫線を大きくはみ出している場合には、そもそも罫線の幅がより大きいノートに変えてみるという方法もあります。また、四角や丸で囲んで意味のまとまりが見えやすいようにすることも有効です。
3つ目は、色ペンを使うことです。基本的に赤ペンが一本あれば問題ないでしょう。ただ、さまざまな色のペンを使うことが好きな子どももいるので、その場合は、「赤ペンは修正する時に使う」など、色に役割を持たせて使うと見返しやすいノートになります。
4つ目は、字下げを用いることです。情報のまとまりを捉え、階層ごとにまとめることで内容を捉えやすくなります。
画像:LFA作成
5つ目は、ナンバリングです。項目に番号をつけることで情報のまとまりが見えやすくなります。とくに類似した情報が遠くに書かれている場合には、ナンバリングをしておくことで情報を照らし合わせやすくなります。
6つ目は、イラストや具体例を用いることです。問題文の内容をイラストにしたり、具体的な例を書いてみたりすることで、理解しやすくなることがあります。まずは一緒に学習する時にイラストや例を使ってみて、その方法が子どもに合っていれば学校や家庭での学習でも取り入れてみるよう伝えると良いでしょう。
7つ目は、教材の対応ページをノートに書き込んでおくことです。ノートの内容が教科書やワークブックのどのページと対応するのかを書いておくと、わからないことが出てきたときに教材で確認しやすくなります。学校の授業の時点でノートの端に対応する教科書のページを記入しておくと、家庭での学習もスムーズになるでしょう。
暗記のポイント
学習の際、英単語などの暗記が必要な場面も多くあります。覚える時には何度も反復することが重要なので、学校や学習支援の現場だけでなく、家庭等でも自主的に取り組むことが理想です。
暗記は、あらかじめ暗記する内容を整理したり、暗記した内容をチェックしたりすることでより効率よく進められます。次の3つの段階を参考に、暗記前の準備や暗記後のチェックを一緒に進めることで、子どもが1人で学習を進める時に向けての練習になります。
- 覚えるべきことを整理する
- 勉強の仕方を決める
- 覚えた内容をチェックする
英単語の学習を例にとって順番に見ていきましょう。
まず、1. 覚えるべきことを整理します。英単語の場合、子どもの学習の到達目標から逆算して、どの範囲の英単語を覚えるのか、覚えるべき単語はいくつあるのか、覚えるべきは単語の「読み方」なのか、「書き方」なのか等を明確にします。
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次に、2. 勉強の仕方を決めます。例えば、英単語を読めるようにすることを目標にするのであれば、英単語を書くことに時間をかける必要はありません。それぞれの目標にあった学習方法を検討します。
最後に、3.覚えた内容をチェックします。テスト等の本番に必要な形式でできるようにチェックすると効果的です。単語を書くことを目指す場合は覚えた単語を紙に書き出す、読むことを目指す場合は赤シートで一部を隠すなど、目標に合わせて方法を工夫できます。この時、チェックをただこなすのではなく、学習目標を意識し、ゴールに対してどのくらい学習が進んでいるのかを把握するために取り組むと、学習をさらに効率よく進めることにもつながります。
問題演習を進める際のポイント
暗記等のインプットの学習に加えて、問題演習を通じて学習内容をアウトプットすることも重要です。演習を行う際も、ケアレスミスを減らしたり、間違えた箇所の振り返りをしやすくするためのポイントがいくつかあります。子ども自身の学習を尊重しつつも、必要に応じて子どもに助言できると良いでしょう。ここでは、演習を行う際のポイントとして、「問題文の整理」、「途中式の記入」の2つを取り上げます。
問題文の整理
問題文の読み違えを防ぐためには、最初に問題文の整理ができると良いでしょう。下線を引いたり、問題文を図や表にまとめたりすることが有効です。下線を引くことの目的は、問題文が指示している内容をチェックしたり、図表が示している内容を確認したり、問題の意味を理解する上で重要な単語を見やすくしたりすることです。
また、問題文を図や表にまとめると文章を理解しやすくなります。とくに数学のグラフや図形の問題、理科の実験は手を動かしてまとめると理解のしやすさが大きく変わることがあるため、一緒に学習を進める際に図や表にまとめる習慣をつけておくと良いでしょう。
途中式の記入
計算ミスを減らし、間違えた箇所の振り返りやすくするためには、途中式を書く習慣を早い段階から身につけておけると良いでしょう。「途中式を書く」ということに対してつまずきがちなポイントとして、①そもそも途中式を書かない、②数字や文字が乱雑で読めない、③スペースを整理して書いていない、④部分的にしか書いていないなどが挙げられます。これらの点に注意しながら途中式を適切に書けているかどうか一緒に確認しておくと、自主学習もスムーズに進むようになるでしょう。途中式を書くのが面倒で省略している子どもも多いので、利点を伝え、その利点を実感してもらいながら、少しずつでも途中式を書くように促してみるとよいでしょう。
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答え合わせのポイント
最後に、答え合わせについてです。問題演習を終えたことに満足してしまい、答え合わせを疎かにしてしまうこともありますが、答え合わせは正しく理解できているかを確かめる重要な機会です。
答え合わせの際は、答えが合っていたかだけに目が向きがちですが、答えを導き出す手順が正しく理解できているか、ミスが起きてしまったポイントはどこかまで子どもと一緒に確認できると良いでしょう。ここでは、効果的な答え合わせの方法の一例をご紹介します。
まず、①赤字でマルかバツをつけます。②バツならば、自分の答えに重ならないように正答とその手順を赤字で書きます。正答を自分の答えに重ねて書くと、子どもがどういう間違え方をしたのかを確認できなくなってしまうため、間違えた答えも残し、解答を振り返るときに役立てられると良いでしょう。次に、③問題を解く手順のうち、自分がどこでミスをしていたかを確認します。最後に、④何を間違っていたかを言葉で書きます。言葉にして整理しておくことで、次回以降に同じ間違いをすることを防ぎやすくなります。
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まとめ
今回は、子どもの自主学習について、実際に学習を進める上で押さえておけると良い点をまとめました。ポイントを以下にまとめます。
- ノートの使い方、まとめ方を工夫して、自主学習の際に活用しやすいノートを作る
- 暗記は目的や方法を決めて取り組み、テスト等の本番に必要な形式で暗記できたかチェックする
- 問題演習の際には、問題文の整理や途中式の記入を行うことで、ケアレスミスを防ぎ、振り返りやすくする
- 答え合わせの際は、「答えが合っていたか」だけではなく、答えを導き出す手順を正しく理解できているか、ミスが起きてしまったポイントはどこかまで確認する
※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません
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