【前編】居場所づくりの始め方~居場所づくりの目的・多様な居場所の在り方とは?~

「子どもの居場所」の形態は多種多様です。そのため「居場所づくりを始めたいけど、どのように始めたら良いのか分からない…」このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

そこで「子どもの居場所づくりの始め方」について、前編/後編に分けてご紹介いたします。前編である本記事では、子どもの居場所づくりの目的や、多様な子どもの居場所の種類についてまとめています。

※本記事は以下の動画記事に基づいて作成をしております。動画でご覧になりたい方は、以下の記事もご活用ください。

動画で紹介!居場所づくりの始め方~居場所づくりとは?拠点開設・運営のポイントは?~【入門編】
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居場所づくりの目的

居場所づくりとは、関わる全ての子ども・大人が「居場所」だと感じられる場所を作ること、そしてそのプロセスを通じて関わる全ての子ども・大人が「成長・変化」を生み出すことをいいます。

居場所の在り方には、模範解答はありません。地域や集まる子どもの特性によって多種多様な在り方がありえます。その中で、居場所拠点で共通して必要なことは、その場所が子ども・関わる大人にとって、安心・安全な空間であることです。「ここは、自分が自分のままでいて良い場所だ」という心の安定を得ることで、子どもたちは自ら成長する力を取り戻していきます。

また、歯磨きや手洗いなどの生活習慣の形成や学習の手助けだけでなく、子どもたちが様々な経験を通して、自分自身を価値ある存在だと受け入れたり、社交性ややり抜く力、思いやりなどの非認知能力を育むことができることの場であることも大切です。

そして居場所拠点は、子どもを見守る地域づくりの中心的役割を担うことも可能です。居場所拠点を中心として、地域の様々な大人と繋がりをもち、行事に参加してもらったり、出来る範囲で活動に参加してもらったりしながら、子どもを見守る大人たちの輪を形成していけると良いでしょう。

居場所の種類

本記事では、子ども食堂、フリースペース、プレーパーク、学童を居場所づくりの一環として紹介します。※一つの拠点で、いくつかの要素を組み合わせて実施されている例もあります。

子ども食堂

子ども食堂では、主に子どもたちへの食事提供を行っています。

子ども食堂には、以下のように様々な形態があります。

  • 有料・無料
  • 登録制・非登録制
  • 子どものみ・大人も参加可能

自分たちの支援の目的に合わせて、どのような形にするのが良いか考えていきましょう。

また、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症のような非常事態下では、宅食や食料配布などに切り替えることで支援を継続した子ども食堂も多く、子どもたちとつながり続けるために重要な役割を果たしています

フリースペース

フリースペースでは、子どもたちが気軽に立ち寄りありのままに過ごせる場所、学校や家以外で自分の「居場所」とできる場いう役割を果たしています。

フリースペースにおいて、「これをしなければならない」という取り決めは特になく、勉強や読書などどもたちがやりたいことをして過ごせる場として設計されていることが多いです。ただ、例えばしっかり学習したいという子どものためには、きちんとサポートできるような準備は整えておけると良いでしょう。

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プレーパーク

プレーパークは冒険遊び場」とも呼ばれる場所で、子どもの創造力で自由に遊びを作り出すことができる場のことを指します。規制の遊具は設置されておらず、自然を活かした、一見無秩序な空間に見えることが多いです。

自然の物や、一見すると遊び道具とは見えないものを使って、自分たちで考えながら遊ぶことで、子どもたちの創造力や責任感を育むことを目的としています。

基本的には「プレーリーダー」または「プレーワーカー」と呼ばれる大人の見守り役が常駐しており、子どもの遊びの手助けや安全管理、非常時の対応などを行っています。


画像:認定NPO法人Learning for All (以下、LFA)作成

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学童

学童では、主に小学生を対象とした放課後の児童預かりを行っています。ただ時間を過ごす場所を提供するのではなく、子どもの課題に応じて、生活習慣の形成や学習の手助けを行う支援の場で、夕食の提供まで行っている場合が多いです。また、地域交流のために、定期的に誰でも参加できるオープンな子ども食堂を開設しているところもあります。

こちらは学童の一日の流れの例です。

 
画像:LFA作成

自由遊びの時間や学習の時間を設けていることが多いですが、例えば、掃除・夕食の時間以外は自由時間として子ども個人の裁量に任せたり、子どもたちで話し合ってスケジュールを決めてもらうといった方法もあります。拠点の目的や子どもたちの様子に合わせて工夫していきましょう。

また、遠足や地元のお祭りへの参加など、拠点外での体験学習や地域の人々と関わるような取組みも、子どもの興味関心や社交性、やり抜く力を伸ばす方法として非常に有効なので、年間予定表を組むときに取り入れてみて下さい。子どもたち自身で何がしたいのか話し合って決めてもらうのも良いですね。

まとめ

今回は、子どもの居場所づくりの目的や、多様な居場所の種類についてご紹介しました。ポイントを以下にまとめます。

  • 居場所づくりでは、関わる全ての子ども・大人が「居場所」だと感じられる場所を作ること、そしてそのプロセスを通じて関わる全ての子ども・大人が「成長・変化」を生み出すことを目的としている。
  • 居場所には子ども食堂、フリースペース、プレーパーク、学童など様々な形態があり、1つの拠点で複数の要素を組み合わせていることもある。

後編では、居場所拠点開設までのステップと、運営のポイントについてご紹介します。

【後編】居場所づくりの始め方~拠点開設のステップ・運営のポイントは?~
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※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません。

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