【後編】個人情報の取り扱い大丈夫ですか?弁護士に聞く、子ども支援現場において気を付けるべきこと

「子ども達を支援する際に、子どもや保護者の情報を得ることが多いけど、個人情報保護の観点から、何に気を付ければいいか分からない」そのように悩まれている子ども支援団体の方も多いのではないでしょうか。今回は、おにざわ法律事務所の鬼澤弁護士に、個人情報とは具体的に何なのか、そして子ども支援団体はどのような事に気を付けるべきなのか、などについて伺いました。

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【前編】個人情報の取り扱い大丈夫ですか?弁護士に聞く、子ども支援現場において気を付けること
【前編】個人情報の取り扱い大丈夫ですか?弁護士に聞く、子ども支援現場において気を付けること

プロフィール:鬼澤 秀昌

東京大学法科大学院卒業。弁護士。司法試験合格後、大手企業法務系の事務所において経験を積む。2017年10月に独立し、教育、NPO、政策提言を得意分野とするおにざわ法律事務所を設立。子どもたちのために頑張る大人が十分に力を発揮し、全ての子どもたちの可能性を最大限伸ばすことができるようにすることを目指している。

 

個人情報を適切に管理するためにすべきこと

━━個人情報保護違反が起きないようにするには、どうすればいいでしょうか?

大切なのは、最低限のルールづくりと、個人情報保護違反はしない!という団体の雰囲気の醸成です。

まずは、最低限のルールを作って、そのルールと、先に話したような起こりうる個人情報保護違反のケースをきちんと職員・ボランティアに伝え、管理者がそれを徹底することが望ましいですこの際、職員やボランティアに個人情報保護の重要性を何度も伝えることが大切です。また、このルール作りの核は、「どの情報をどこに保管するのかを決めておくこと」が大切だと思います。これが決まっていれば、ルール違反が何処で起きたのか分かりやすくなります。

更に、団体の雰囲気によって職員・ボランティアの意識は変わるため、ミスが起きた時にきちんと対応することも必要になります。

例えば、メールのccとbccを間違えてメールアドレスが漏洩した場合、これを「今後注意しようね」だけで終わらせるのではなく、関係する職員・ボランティアからしっかりと聞き取りを行い、なぜこのようなことが起こったのかを調査して、再発防止の対策をとれば、職員・ボランティアも一人一人が真剣に受け止め、団体としてしっかり管理しようという雰囲気ができます。

外部への説明責任という意味でも、ルールづくりや意識づくりは重要です。委託事業などで個人情報の漏洩が起きてしまった場合、委託元への説明責任が生じます。その際に「何も対策をしていませんでした」とならないようにも、日頃から意識しておくことが望ましいです。

 

━━ルール作りは、どのように始めればよいでしょうか?

まずは、自分の団体の個人情報について棚卸をする所から始めるとよいと思います。具体的には、以下のようなステップで棚卸を行ってみてください。

STEP1.自分の団体が保有している個人情報を全て洗い出し、そのデータを大まかに分類してください。(寄付者の属性に関するデータ、申込書データなど)

STEP2.現時点でのこれらの情報のフローを書き出してみてください。具体的には、分類したそれぞれのデータが、個人情報が発生した時(団体が取得した時)に何処にあるのか、活用する時はどこにあるのか、保管場所はどこか、削除はどのように行われているのか、という点と、誰がそれを担っているのかを書き出してみてください。

STEP3.上記を整理してみると、課題点が見えてくると思いますので、「これは非常に重要な情報なので、紙で保管しよう」とか、「この情報はクラウドに集約しよう」という風に、対応を決めることができます。

また、ルール作りの際には、担当の職員がいなくなっても、団体として個人情報を管理できるようにしておくことも大切です。例えば、クラウドに個人情報を集約する時には、職員の誰かをクラウドの管理者にするのではなく、団体のアカウントを作成し管理者にしておくことで、万が一職員のアカウントが使えなくなったとしても、個人情報を管理することが可能です。

 

━━ルールを徹底するためにも、個人情報のマニュアルを作成すべきでしょうか?

どこまでの重さ(細かさ)のマニュアルを作るかは団体の人数規模や、委託元の規定によりますが、個人情報の担当者を決めておくとか、漏洩した時どうするのかという最低限のルールはあった方が良いと思います。

 

━━個人情報を集める際に、相手に伝えるべきことや定めておくべきことはありますか?

子ども本人から情報を得る場合は、何のために使うのかという利用目的を明確にして、きちんと先方に伝えることが望ましいです。

また、連携する他の子ども支援団体から子どもの情報を得る場合には、「そもそもこの情報は私達が受け取って良い情報なのか?」という点を意識してください。

本来であれば、同意がないと個人情報は第三者に提供してはいけないことが原則となっていますので、①共有する同意を本人から得ているのか?、②個人情報保護法/条理の例外にあてはまるのか?という2点をしっかり確認しましょう。

子ども本人を自分達の拠点に連れてきてもらって直接やりとりするなど、個人情報のやりとりをせずに子どもと繋がることもできますので、そのような対応ができないかも検討してみてください

 

困った時の相談先やオススメの書籍

━━個人情報について、分からないこと・不安なことが生じた際には、誰に相談することが適切でしょうか?

ルールやマニュアルの整備については、弁護士、または他団体(自分の団体と同程度の規模で、既にルールやマニュアルを導入している団体)に聞くことが良いと思います。

もし相談できる弁護士が身近にいなければ、私が代表をしている「BLP-Network」というNPOの活動を応援したい弁護士の集まりの団体があるので、是非こちらを活用してください。ホームページに申し込みフォームがあり、これに記入/送信して頂ければ、弁護士を紹介できる仕組みになっています。

どの団体にも細かいルールが必要というわけではありません。団体の規模によっては、何に気を付ければいいのかを明確にすればいいだけの場合もあります。BLPネットワークであれば、必要最低限何をすべきかという相談もできるので、気軽に相談してください。

リンク:BLP-Network「NPO・NGO・ソーシャルセクターの方々へ 

 

━━少し個人情報の知識を深めたい場合の、お奨めの書籍はありますか?

BLPネットワークのNPOの法律相談」を現在更新しているので、是非読んで頂ければと思います。ただし、内容が少し古く、現在改訂作業を進めているところですので、近々改訂版が発売される予定です。

 

まとめ

鬼澤弁護士に、個人情報とは具体的に何なのか、そして子ども支援団体ではどのような事に気を付けるべきなのか、等について伺いました。

お話のポイントを下記にまとめます。

・子どもの名前や住所、ボランティアの名前や住所等以外にも、子どもが受けたテストの答案用紙、子どもが書いた絵、子どもを映した写真、子どもと接した際の記録なども個人情報にあてはまる

・適切に個人情報を管理するためには、子ども支援現場でおきがちな個人情報保護違反のケースを念頭に起きつつ、最低限のルールづくりや、個人情報保護違反はしない!という団体の雰囲気の醸成に取り組むことが大切

・個人情報について不安なことがあれば、「BLP-Network」というNPOを応援したい弁護士が集まっている団体があり、オンラインで気軽に相談を申し込める

鬼澤弁護士、ありがとうございました!

※本記事の内容は専門家個人の見解であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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