学習支援/居場所づくり/子ども食堂など、子どもへの支援を継続するにあたって、資金調達の悩みはつきものではないでしょうか。「安定した資金調達のために、寄付を集めたい」「活動説明会を行っているが、なかなかサポーターが集まらず苦戦している」という方もいらっしゃると思います。
今回は、NPO法人Learning for All でコミュニティ推進事業部事業部長として資金調達業務に携わられている石神さんに、サポーター集めの実践事例をお伺いしました。
プロフィール:石神 駿一
LFAコミュニティ推進事業部 事業部長。明治大学政治経済学部を卒業後、株式会社電通にて4年半勤務。メディアバイイング、メディア開発、企業のCIVI開発などを行う。Learning for All では広報・コミュニケーション領域を担当。関わる全ての人が気づきを得ることが出来て、学びを得られるような団体を目指す。最近ハマっていることは筋トレ、ラーメン、ラグビー。
サポーター集めの活動内容
LFAでは、我々を応援し、寄付いただいている方のことをサポーターと呼ばせていただいています。毎月定額で寄付をいただいているマンスリーサポーターは、2021年9月現在、3,700名以上いらっしゃいます。
最近はWeb広告経由でサポーターになっていただく方がほとんどですが、新型コロナウイルス流行前は、一般の方向けの活動説明会や、特定の企業様に出向いて朝会などの時間に社員様向けのプレゼンを行う「出張プレゼン」を軸に活動していました。
今回は、そのような活動説明会や出張プレゼン等での経験を通じて学んだことをお話したいと思います。
実践しながら学んだサポーター集めのポイント
一番大切なことは、「わかった気にならない」ことだと思います。私自身、「サポーターになってくださる方はこういう方だろう、こういう反応をしていただけるだろう」と思い込んでいた時期がありました。しかし、そういった思い込みは実態とかけ離れていました。サポーター集めの活動の中では、「わかった気にならない」ということがとても大切だと考えています。
具体的に実施していることを2点紹介させていただきます。
①徹底的にペルソナを検討・分析し、振り返る
活動説明会や出張プレゼンでは、どのような人が集まっているのか、今回集まっていただいた方はどのようなことに興味があるのか、を必ず考えて準備しています。
年齢も所属も様々な方が集まる一般向けの活動説明会では、申し込みフォームで年齢や参加目的をお伺いし、その日集まった方に合わせてお話する内容の比重を変えています。例えば、ビジネスマンの方が多ければLFAの事業の仕組みを中心に説明する、というようなイメージです。
また、活動説明会のあとには座談会も実施しているのですが、そこでも申し込みフォームで伺った属性をもとにグループ分けを行い、各グループと属性が似ている担当者を配置するようにしています。
そして、各会の参加者の反応をもとに振り返りを行い、次回以降に話す内容を改善していく、というサイクルを何度も繰り返していきました。
②既存のサポーターの方にご意見・ご協力をいただく
「わかった気にならない」ために、既存のサポーターの方にも積極的にフィードバックをいただいています。
現場見学を行っていた時は見学に来ていただいた方にLFAの活動に対するご意見をいただいていました。また、コロナ禍ではオンラインで定期的にサポーターの方向けの座談会を実施しており、座談会前後の時間に雑談をしながらフィードバックをいただいています。
最近では、活動説明会に、登壇者・運営スタッフとして参加いただいたり、登壇いただくサポーターの方にSNSで説明会を告知いただいたりもしています。
サポーターの方のご意見のおかげで改善できたことはたくさんあります。例えば、私がサポーター集めを本格的に始めた当初は、ダイレクトに「寄付してください」とはなかなか呼びかけづらいと思っていました。しかし、あるサポーターの方に「何に困っているの︖LFAの活動のためにお金が必要なら明確にそう言ったほうがいい」と言っていただいたことをきっかけに、「我々の取組にはサポートが必要です。寄付してください。」と明確に言うようにしました。そのおかげで、LFAの活動を知った方が寄付をしてくれる確率が上がり、成果に繋がりました。
「子どもの貧困」を体感してもらうための工夫
上記でお話したことに加え、サポーターになっていただくためには、そもそも「子どもの貧困」という課題を自分ごととして捉えていただくことが重要だと考えています。
そのため、子どもの相対的貧困を体感してもらえるようなワークを「出張プレゼン」に取り入れたことがあります。具体的には、食費や家賃など1か月の出費を書き出していただき、相対的貧困にあたる所得で生活するためには、何の出費を削らなければならないかを考えていただきました。
社会課題というのはなかなか具体的なイメージが湧きづらいものですが、このようなワークによって、当事者が抱える困難を疑似体験いただけたのではないかと思います。子どもの貧困という言葉をただ「知っている」だけでなく、それがどんな課題なのか、体感してもらい「自分ごと化」してもらうことで、共感が生まれて一緒に解決したい、と仲間になって頂く方が増えたと思っております。
まとめ
石神さん、ありがとうございました!
「わかった気にならない」ために、どのような方がどのような理由で応援してくださるのかを徹底的に考えつつも、実際のサポーターの方のご意見も伺いながら、どんどんブラッシュアップしていくことが大切ですね。
石神さんには企業寄付をいただくための工夫もお伺いしています。気になる方は是非こちらもご覧ください。
※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません
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