地域と協働した包括的な子ども支援のために 〜社会資源の探し方編〜

こども支援ナビでは、これまで「地域づくり」や「地域協働」をテーマにした記事をいくつか執筆してきました

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今回から改めて、複数回にわたって「地域と協働した包括的な子ども支援」について連載していきます。

第1回は、地域に存在する社会資源の探し方について、認定NPO法人Learning for All (以下、LFA)職員の入澤充さんに伺います。

プロフィール:入澤 充
Learning for All 子ども支援事業部。大学生当時、認定非営利活動法人Teach For Japanの1事業だったLearning for Allに参画し、非常勤職員としてLearning for Allのプログラム開発に従事。 大学卒業後、プレイワーカーとして子どもの遊び場の管理運営に携わった後、トロント大学オンタリオ教育研究所に2年間留学。留学先では社会正義教育について研究する。現在、LFA子ども支援事業部事業部長。LFAの活動を通じて、不平等を再生産するこの社会の構造を少しでも変えていきたい。最近ハマっていること:「日向坂で会いましょう」の動画を見ること

社会資源とは

「社会資源」とは、利用者がニーズを充足したり、問題解決するために活用される各種の制度・施設・機関・設備・資金・物質・法律・情報・集団・個人の有する知識や技術等の総称です(『精神保健福祉用語辞典』)。子ども支援の領域では、例えば行政の担当部局、学校、地域の民間団体等が社会資源となります。

社会資源と繋がることの重要性

—なぜ社会資源と繋がることが重要なのでしょうか。

社会資源と繋がり協働することは、子どもたちに対して必要な支援を切れ目なく届けるために必要です。それぞれ得意な分野や担当する領域が異なる支援者が繋がり協働することで、自分たちの専門外の分野・領域を他の支援者に任せることができるからです。それによって、それぞれの支援者は自分たちの強みを活かせる分野・領域に注力して支援を展開することができます。

また、社会資源との繋がりがあることで、支援が必要な子どもたちにリーチしやすくなります。例えば、自分たちの行っている支援を必要としているものの、まだ繋がれていない子どもがいた場合に、社会資源と繋がりがあれば、他の現場の支援者から「こういう特徴があって、ぜひそちらの現場を紹介したいと思う子どもがいるんですよ」と情報連携がされることで、子どもと繋がることができます。

社会資源の探し方

—社会資源と繋がるためには、まず地域に存在する社会資源を把握する必要があります。社会資源の探し方について教えてください。

今回は2種類の社会資源の探し方について紹介します。1つは自治体などの行政サービス、もう1つは民間の団体です。なお、見つけた社会資源は一覧にしてまとめておくとよいと思います。

①自治体などの行政サービスの探し方

A. 検索エンジンで探す

例えば以下の検索ワードで調べるのがよいと思います。

  • “学習支援事業” + “自治体” + 地域名(〇〇市、町、村、区)
  • “居場所支援事業” + “自治体” + 地域名(〇〇市、町、村、区)

B. 自治体のサイトを閲覧する

自治体のサイトには子ども支援に関するその自治体の基本計画(例:「子ども・若者計画」「子ども・子育て計画」)が載っている場合が多いです。この基本計画には地域の社会資源(特に行政の事業・サービスなど)の情報が載っていることがあります。したがって、自治体のサイト内の検索機能を用いて、以下の検索ワードで調べるのがよいと思います。

  • 自治体名 + “子ども・若者計画”
  • 自治体名 + “子ども・子育て計画”

C. その他

行政の担当窓口に直接電話して聞いてみるというのも1つの方法です。

②民間団体の探し方

A. 検索エンジンで探す

例えば以下の検索ワードで調べるのがよいと思います。

  • “子ども” + “支援” + “ネットワーク”
  • “学習支援” + 地域名 
  • “居場所支援” + 地域名
  • “子ども支援” + 地域名
  • “子ども食堂” + 地域名

特に、1つ目の「ネットワーク」を含む検索ワードでの検索によって、地域に存在する民間の支援団体の情報がまとまったサイトが見つかることがあります。例えば、板橋区には次のようなサイトがあります。

参考:いたばし子どもの居場所づくり活動支援事業事務局「いたばし 子どもの居場所」https://itabashi-kodomonoibasho.net/

B. 行政の児童福祉部局や社会福祉協議会のサイトを閲覧する

行政の児童福祉部局や社会福祉協議会のサイトに民間団体の情報がまとまっていることがあります。

C. その他

  • 自治体のボランティアセンターを訪問する、あるいはHPを見る
  • 行政の担当窓口に電話して聞く
  • Twitter等のSNSを用いて『自治体名 + “子ども” + “支援”』等で検索する

等の方法もあります。

まとめ

今回は、LFA職員の入澤さんに、地域に存在する社会資源の探し方について伺いました。ポイントを以下にまとめます。

  • 社会資源と繋がり協働することで、自分たちの強みを活かせる分野・領域に注力して支援を展開しやすくなったり、支援が必要な子どもたちに繋がりやすくなったりする。
  • 自治体などの行政サービスの探し方は、「“学習(or居場所)支援事業” + “自治体” + 地域名(〇〇市、町、村、区)」で検索する、自治体のサイトで基本計画を閲覧する、行政の担当窓口に直接電話して聞いてみるなどの方法が有効である。
  • 民間団体の探し方は、「“子ども” + “支援” + “ネットワーク”」等で検索する、社会福祉協議会のサイトを閲覧するなどの方法が有効である。

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

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