【前編】子どもが虐待されているかも?と思った時の対応方法

困難を抱える子どもの中には、養育環境が不十分で、虐待を受けてしまっている子どもも少なくありません。支援現場で子どもと関わる中で、「これって虐待なのかな?」とお悩みになった経験がある方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、「子どもが虐待されているかも?」と思った時の対応方法について、ソーシャルワーカーとして活躍されている竹田さんにお話しを伺いました。

プロフィール:竹田ゆきえ
Learning for All 子ども支援事業部。大学卒業後、ソーシャルワーカーとして精神科医療機関で勤務。重度の精神疾患を抱える患者さんや、救急対応が必要な精神状態の方の地域での生活を支援し、児童精神科でのソーシャルワーク業務にも従事した。その後、JICAボランティアとしてドミニカ共和国で活動。子ども時代の経験がその後の人生に与える影響の大きさ、生まれた環境による選択肢の違いを感じた。2020年6月からNPO法人Learning for All に入職。「ありのままの自分で良い」と思える子ども時代とそれを応援できる社会を実現したい。最近ハマっていること:K-POPの歌やダンスを練習し、子どもたちと楽しむこと

虐待の特徴・「虐待かも?」を見つけるためにチェックすべき項目について

━━虐待を受けている子どもの特徴や、支援者がチェックすべきポイントはありますか?

まず、虐待は大きく4つに分けることができます。

①身体的虐待

子どもに対して殴る・蹴るなどの暴力行為を行うことです。子どもは、打撲や骨折、頭部の外傷、火傷、切り傷などを負い、死に至ることもあります。

②性的虐待

子どもへの性交や、性的な行為の強要・教唆、子どもに性器や性交を見せる、などが挙げられます。性的虐待は開始年齢が早いと子どもは性的虐待だと理解できないこともあり、また、他人に口外することをきつく止められているケースも少なくありません。男性から女児だけではなく、女性から男児への性的虐待も起こりうることです。

③ネグレクト

家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない、など養育自体を放棄する状態のことを言います。乳幼児や年齢の低い子どもに起こりやすく、安全や健康への配慮が著しく欠けたために、子どもが死に至るケースもあります。

④心理的虐待

大声で脅したり、子どもを無視したり拒否する態度を取ることを言います。その他にも、兄弟間で差別的な扱いをしたり、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるうことも心理的虐待となります。警察が児童相談所に通告する虐待の7割が心理的虐待であり、その件数は身体的虐待の3倍にもなります。

出典:児童虐待の定義と現状」厚生労働省
「子どもの虐待とは」子どもの虐待防止オレンジリボン運動
「見えない恐怖! 実は児童虐待の7割は“心理的虐待” 身体的虐待の3倍にも上る」FNNプライムオンライン

こういった虐待を受けた子どもは、以下のような身体的・精神的な影響を受けます。支援者の皆様は以下のような特徴を捉えたら「虐待」の可能性を考えてみて下さい。

身体的な面での影響

アザや傷などは最も顕在化しやすい虐待の特徴です。その他にも、身体が小さい、耳が悪い、目が悪いなど身体面に影響が出ることがあります。また、ネグレクトの場合は、衛生管理がなされていないため、虫歯や皮膚の疾患、耳鼻科的な疾患が見られる場合もあります。

心理的な面での影響

身体的虐待を受けている子どもは、強い人には弱く、弱い人には強く出る傾向があります。何か問題があったときに力で解決しようとする態度も現れるため、集団内での威嚇的な言動が見られることがあります。

ネグレクトを受けている子どもは、生活一般的に意欲の乏しさを感じることが多いです。その一方で、いつでも怒りを抱えているかのように、些細なことをきっかけにして癇癪を起こすこともあります。

心理的虐待を受けている子どもについては、対人関係のなかで生じる感情のやりとりに関して、著しい不安定感を感じることがあったり、気分のムラが激しい、不自然な怒りや引きこもりの反応が見られたりします。

性行動化:不自然に性的な言動

性的問題行動とは、子どもの年齢・精神的な発達にそぐわない性的行動のことを言います。身体の性的な部分に触れる、触れさせる、見る、見せるなどの行動があります。身体的な接触がなくても、性教育教材に異様な関心を示したり、関心をおおっぴらに周囲に発言したりすることもあります。

性的虐待によって、子どもが性的な言動を大人への愛着行動と混濁して学習した結果、このような行動をとってしまう子どももいます。

出典:「支援者の方へ・性的問題行動」子育て大変.com
「これって虐待?」全国保育士会

ここまで、虐待の特徴やそれぞれの虐待が子どもに及ぼす影響について、竹田さんに伺いました。後半では、虐待を見つけた時にスタッフが行うべきこと、また「他の人には言わないで、と子どもから言われた場合はどうすれば良いの?」といったよくある質問に対する対応について伺っていますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。

後編はこちら

【後編】子どもが虐待されているかも?と思った時の対応方法
【後編】子どもが虐待されているかも?と思った時の対応方法

※本記事の内容は専門家個人の見解であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

 

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