皆さんこんにちは。ライターの福田です。
今回もお悩み共有会をお読みいただき、ありがとうございます。引き続き「これどうしよう?とすごく悩んだ」「どうすればいいのかさっぱり分からなかった…」という経験をご紹介していきます。
今回はNPO法人Learning for All(以下、LFA)のスタッフに、学習支援拠点での子どもとのコミュニケーションで悩んだ例をお伺いしました。学習支援拠点には、積極的に勉強したい子どももいれば、自分のペースでゆっくり勉強に向き合いたい子どももいると思います。そのような一人ひとりの勉強に対する姿勢の違いに関するお悩みです。
印象に残っている悩み
ーどんな悩みが印象に残っていますか。
1つの長机を挟んで2人の子ども(Aくん、Bくん)に同時に勉強を教えていた時のことです。二人は普段から一緒に遊ぶほど仲が良かったのですが、Bくんが一方的に話しかけている様子が目立っていました。
Bくんは「勉強はしないといけない。勉強しないのは良くないことだ。」と考えて必死に勉強していましたが、一方のAくんが学習支援拠点に来る目的は勉強というよりも大人と話す時間の確保でした。Aくんももちろん勉強をしますが、それほど必死にやるのではなく、休んだり喋ったりしながら勉強できればいいと考えているようでした。もともとあまり勉強ができず、勉強が少し億劫に感じている部分もありました。
ある日、Aくんが体力的な疲れから「勉強したくない」と言った際に、隣で勉強していたBくんが「勉強しないことはおかしい」と言い、一方的に自分の意見を言う状況になってしまいました。私からは「その日の体調や気分もあるから勉強したくない時に無理に勉強する必要はない。」と伝えましたが、Bくんは納得ができていない様子でした。それ以降、AくんとBくんは相変わらず仲は良いのですが、二人で一緒に勉強することは無くなりました。
悩みの要因
ーそこにはどんな原因があると思いますか。
学習支援拠点のスタッフである私たちは、その二人の勉強に対する姿勢の違いには気づきつつも、学習支援拠点に来る目的は一人ひとり違ってよいということをを子どもに伝えることはしていませんでした。
また、AくんとBくんでは元々のコミュニケーションの仕方も少し違い、よく喋るBさんが一方的に話す形にさせてしまったのも良くなかったと思います。
同じ場面に戻れるならばどうするか
ー同じ場面に戻れるならばどうしますか。
まずは二人の関係が険悪にならないように、また、子どもにとっての安心空間を守れるように、もっと早い段階でBくんの発言を止めればよかったなと思います。
その上で、それぞれに各自の目的があってここに来ていること、だからこそ好きなタイミングで休んでもいいということを伝えるべきでした。
悩んだ経験から学んだこと
ーこの経験からどのようなことを学びましたか。
学習支援拠点と言っても、小学生から受験生までいますし、同じ学年でも各子どもが拠点に来る目的は様々です。それぞれの目的に合わせた拠点の使い方があるはずで、それを子どもに伝えるべきだと考えるようになりました。
また、子どもが学習支援の拠点に繋がっても、実は学習支援以外の支援のニーズのほうが大きいという場合もあります。そのような子どもは、そもそも学習支援拠点で見続けるのか、場合によっては他の支援場所に繋ぐことが良いのではないかと考えるようになりました。
子ども支援に関わる皆さんへメッセージ
ーこの記事をご覧になっている方にどんなことを伝えたいですか。
勉強にどう向き合うかという姿勢はそれぞれの子どもで違いますが、私たちの拠点では、一人ひとりの勉強に対する姿勢を尊重したいと考えています。それを子どもたちに伝える際に、スタッフによって言うことが異なっていては子どもが混乱してしまうので、どのように子どもたちに伝えるべきかスタッフ間ですり合わせをする必要があると感じました。私はこのことがあってから、それぞれのスタッフが同じ認識を持てるように説明するようになりました。
逆に、この記事を読んでいる皆さんから意見を募りたいこともあります。
小学生の場合、勉強の目的を設定するのが難しいなと感じます。勉強のための集中力をずっと維持し続けるのも難しいですし、中学受験など具体的なイベントがない場合に勉強の目標をどこに置くのかも難しいです。小学生が学習支援の拠点に来る際、本人にとっての勉強のゴールをどこに置いているのか、ご意見を伺いたいです。
今回は、子どもそれぞれの勉強ペースを守るのが難しくなった経験を紹介してもらいました。拠点に来る目的や勉強の目的が違う子ども同士がお互い快適に過ごせる環境を作るのには頭を悩ませますよね…。「自分たちの拠点では、このように勉強の目的を決めている」など紹介していただける事例があれば、是非「支援事例・感想を送る」からご連絡ください。
次回以降も引き続き支援者の方々のお悩みを共有していきます。
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※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません
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