子ども支援ボランティアの募集方法ーNPO法人Learning for Allの事例ー

子ども支援現場を運営する中では、ボランティアの方々の協力は不可欠かと思います。
今回は、「NPO法人の運営に欠かせないボランティアの募集方法」について、関東近郊で学習支援・居場所づくりを実施しているNPO法人Learning for All(以下、LFA)の入澤さんに伺いました。

プロフィール:入澤 充
Learning for All 子ども支援事業部。大学生当時、認定非営利活動法人Teach For Japanの1事業だったLearning for Allに参画し、非常勤職員としてLearning for Allのプログラム開発に従事。 大学卒業後、プレイワーカーとして子どもの遊び場の管理運営に携わった後、トロント大学オンタリオ教育研究所に2年間留学。留学先では社会正義教育について研究する。現在、LFA子ども支援事業部事業部長。LFAの活動を通じて、不平等を再生産するこの社会の構造を少しでも変えていきたい。最近ハマっていること:「日向坂で会いましょう」の動画を見ること

LFAがボランティアの募集で大切にしていること

━━ボランティアをしたいという学生を大切に思う入澤さんが特に、募集時に気をつけているポイントや募集方法などはありますか?

募集で特に気を付けているのは、LFAのボランティアとなった後に「思っていた活動と違った!」と思われないようにすることです。
以前お話しした通り、LFAのボランティアではボランティアにお願いすることがとても多くあります。

現場で活躍する大学生ボランティアーNPO法人Learning for Allの事例ー
現場で活躍する大学生ボランティアーNPO法人Learning for Allの事例ー

そのため、途中で「想像していたボランティアと違う」と学生が離れていってしまわないように、募集の時点でお願いしたいことは全て伝えるようにしています。

━━先にボランティアでお願いしたいことを伝えておくのですね。その他、工夫しているポイントはありますか?

ボランティアという位置付けですが、私たちは職員もボランティアも同じ志をもった仲間と思っているので、応募してくれた大学生には面談と事前課題をお願いしています。

事前課題については自己紹介や自己PR、それから実際に当団体で関わった子どもの事例を共有して、どうやって対応するのかを記入してもらっています。

子どもの事例事前課題例

そして面談時に課題をもとに質問をしたり、対応方法について「子どもにこのような声かけをしても良いのでは」などとLFAからフィードバックを行い、その際の学生の反応をみながらLFAのボランティアとして活動可能かどうか判断しています。

━━事前に課題を出しておくのですね。課題のフィードバックで学生の反応を見るのはどうしてですか?

前提として、子どもと関わることに正解はないと思っているので、課題に対して様々な関わり方が出てくると思っています。自分のやり方だけに囚われず、柔軟に対応ができる人と一緒に活動していきたいと思っているので、事前課題のフィードバックで提案に対して前向きに考えてくれるか、という反応をみています。

この柔軟さは子どもに対してだけではなく、ボランティア同士で関わる際にも重要だと考えています。

ボランティアも本当にたくさんの人数がいます。現場に入ったときに、お互いのやり方を尊重したり、同じ目標を共有して一緒に相談しあう場面があるため、皆で良い拠点を作っていくためにも、この基準は大切にしています。

ボランティアが集まらないときの対処法

━━ボランティアの募集をかけても集まらないときにはどんなことを見直していますか?

LFAの場合は、ボランティアが集まらない時は、自分たちの現状の評価(把握)をして、ボランティア募集を見直します。

活動する場所を例に上げて説明させていただきます。

駅近で大学もあるような場所での活動であれば大学生の参加が見込めると思いますが、反対に、駅から遠くて、住んでいる人がお年寄りが多い地域であれば、集まるボランティアはお年寄りが多くなると思います。

このように、自分たちの活動拠点や、来ている子どもの特徴等を鑑みながら、現実的に参加できそうなボランティアのイメージを確認します。

次に、どのタイミングでどれくらいのボランティアが必要なのかを洗い出します。


行事やプログラムによって、どの時期にどれくらいのボランティアが自分達に必要かも見えてくると思います。そうすると、どの時期から募集をしなければならないかがわかります。

また、告知方法についても見直しや工夫を行います。

募集の方法はチラシの配布、Web広告、説明会の実施など、様々な方法を行いました。どのようなボランティアを集めたいか、そしてどのようなボランティアが参加できる環境なのかによって募集方法も異なってくると思います。

何回か募集の経験を積むと、試行錯誤もできると思います。最初は失敗することもあると思いますが、まずは先の見通しを立てることが大切だと考えています。

ボランティアの募集方法

━━LFAは現在までに1500名以上(2021年3月現在)のボランティアが参加されていますが、募集を続ける中で、大切にしていることはありますか。

LFAはボランティアに限らず活動全てにおいて「口コミ」を大切にしています。

今までの経験から、優秀な人は他の優秀な人や素敵な人を呼んできてくれることを実感しています。その為、ボランティアにとっても良い場所になるようLFAは心がけています。

また、参加してくれているボランティアに、「LFAについて発信して欲しい、仲間を見つけて欲しい」と伝えています。

そのために、ボランティアにはポイント制度を導入しています。

LFAに友達を呼んでくれたら一人xxポイント、Facebookに記事をシェアしてくれたらxxポイントなど、ゲーム感覚で楽しみながら一緒にボランティアを集めてもらっています。

今でこそ沢山のボランティアが参加してくれているので口コミが生まれていますが、LFAが活動を開始した当初は、口コミを生むためにできることはなんでもしました。

大学の寮に住んでいる学生ボランティアに、寮のポストにLFAのチラシを入れてもらったり、学生には学校の授業内でプレゼンをしてもらったこともありました。

泥臭い活動ですが、何よりもこの活動を軌道に乗せることの方が重要ですし、そのためにはたくさんの人の協力が必要です。
たくさんの人に知ってもらえれば、広がりもその分早くなっていきます。

やってみると、みんな快く参加してくれたり、協力してくれたりするので、無理のない範囲でできそうなことは試してみると良いと思います。

まとめ

今回は、LFAの入澤さんにボランティアの募集方法について伺いました。ポイントを下記にまとめます。

・ボランティア採用時には、認識の違いが出ないよう、募集の時点でお願いしたいことは全てボランティアに伝える
・募集時には、事前課題を提示し、柔軟に対応できるボランティアを探している
・ボランティアが集まらない時には、自分の団体の現状を評価(把握)し、ボランティア募集を見直す
・告知の際には、口コミを重視している。その他にもチラシ配りや学校内でのプレゼンなど、できることは何でも行う

入澤さん、ありがとうございました!

※本記事の内容は団体の一事例であり、記載内容が全ての子ども支援団体にあてはまるとは限りません

 

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