「子どもに勉強を教えているけれど、一人ひとりに合った教材がわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?子どもの学力も様々で、その子に合った教材を見つけるのはなかなか難しいと思います。
今回は、NPO法人Learning for All(以下、LFA)の福田さんに、中学生向け、子どもの学力に合わせたおすすめの英語市販教材について伺いました。
プロフィール:福田 良
Learning for All 子ども支援事業部。2012年度冬に大学生ボランティアとしてLFAに参加し、その後葛飾区にて学習支援・居場所支援のスタッフとして従事。過去6年間、小学校3年生から高校3年生の子どもに対して幅広く学習支援で指導し、毎年高校・大学受験対策も担当してきた。現在は、LFA の教材開発にも携わる。LFAの現場から子どもが成果と確固たる自信をもって旅立っていき、参加した教師のみなさんが社会課題の当事者になれるような体験を提供したいと考えている。最近ハマっていること:ポケモンの通信対戦
学年別:子どもがつまずきやすいポイントとは?
中学1年生
中学1年生は、アルファベットに始まり、be動詞、三人称、否定文、疑問文、現在進行形、過去形と学習していきます。
勉強が得意ではない子どもは、アルファベットを書く段階で「bとdの違い」「vとuとwの違い」などがわからずつまずいてしまう子どもも多くいます。
アルファベットが書けるようになっても、三人称の学習の際に「そもそも三人称って何?」「なぜ三人称単数は動詞にsをつけるの?」と日本語にはない概念に戸惑ってしまったり、Do youとAre youの違いなど、be動詞と一般動詞の違いが理解できずつまずいてしまう子どもも多くいる印象です。
中学2年生
中学2年生は、未来形、不定詞、比較、受動態等の単元を学習します。
中学1年生の学習内容に比べ、中学2年生の学習内容は覚えることが多く、また不定詞や動名詞など単語の形を変化させるもの(~ingや~ed、~erなど)も増えます。また、単語の形の変化に伴い、動詞の単語が名詞の役割になるなど、単語の意味や役割自体が変わることもあるため、つまずく子どもが非常に増えます。
特に、比較については、比較級・最上級・原級比較など、多くの構文を覚える必要があります。また、一部の比較では単語を変化させる必要もあるので、勉強が得意な子どもでも間違えてしまう傾向があると思います。
中学3年生
中学3年生は、現在完了、関係代名詞等を学習します。
今まで教えてきた子どもを振り返ると、分詞と関係詞は特につまずきやすい単元だと思います。分詞と関係詞は使用する場面は似ているものの、使い方は異なります。この違いを理解することが非常に難しく、中学2年生まである程度英語ができた子どもでも、分詞・関係詞でつまずく子どもを多く見てきました。
基本的には、中学3年生の教科書には中1・中2の復習ページがついているので、まずは今までの単元をきちんと理解できているかを確認してからでないと、中学3年生の単元ではつまずいてしまいやすいのではと考えています。
私が見てきた子どもたちの傾向を振り返ると、各学年・単元ごとにつまづきやすいポイントがあります。ですが、子どもの学力は子ども一人ひとりで全く違います。その為、どのような子どもにおいても、まずは子どもが今どれくらいの学力であるのかを把握することが大切です。だからこそ、教材を選定する前に子どもの学力を測るテストを行うことをおすすめします。
おすすめ教材
学力テストで平均点を下回る子ども
学校の学力テストで平均点を下回るような子どもは、基礎をしっかりと固める必要があります。
ある程度アルファベットは書けるものの、英語で得点を取れない子どもについては、学研「中1英語をひとつひとつわかりやすく。」がおすすめです。
画像引用:「中学ひとつひとつわかりやすく 中1英語をひとつひとつわかりやすく。改訂版」家で勉強しよう。学研のドリル・参考書
【おすすめポイント】
パッと見た瞬間に「どこを見れば良いのか」がわかる教材です。勉強が苦手な子どもの中には、説明文を最初からきちんと読める子どもも少ないと思います。この教材は、イラスト等を用いて「どこを見るか」を明確に提示しているため非常に取り組みやすいと思います。
また、MUD認証取得(MUD(Media Universal Design)とは、様々な情報が高齢者・色覚障がい者などにも、見やすく、伝わりやすくするための配慮手法)をしており、文字の大きさや色づかいに配慮をされた教材です。学習障害の傾向がある子どもでも非常に見やすい教材となっています。
イラストによって、「どこを見れば良いか」がすぐにわかる
画像引用:「中学ひとつひとつわかりやすく 中1英語をひとつひとつわかりやすく。改訂版」家で勉強しよう。学研のドリル・参考書
学力テストで高得点をとる子ども
英語は数学と違い、基礎問題と応用問題で難易度の乖離はそこまで大きくありません。そのため、ある程度英語が得意な子どもについては、同じ内容の問題をひたすら解いて知識を定着させることになります。その中でも、自由記述・並べ替え・穴埋めなど、問題の形式によって得意不得意がある子どもも多いので、様々な問題形式がある問題集を使ってみることをおすすめします。
私のおすすめは、受験研究社の「英語 標準問題集: 3ステップ式」です。
画像引用:「中1 標準問題集 英語」増進堂・受験研究社
【おすすめポイント】
問題数も多く、様々な問題形式のものが掲載されていることから、知識の定着のためには最適かと思います。
おすすめとしてこちらの教材を挙げさせていただきましたが、英語がある程度できる子どもは比較的教材に左右されずに勉強することができると思います。問題形式が多い教材であれば、子ども自身に選んでもらっても良いかもしれません。
最初に解説がある上に、練習問題では様々な問題形式のものが出題されている
画像引用:amazon商品ページより引用
その他のおすすめ
入試教材のおすすめ(中学3年生向け)
中学3年生は、授業内容に合わせた学習とは別に受験対策が必要になってきます。学研「やさしくはじめる入試問題の解き方 英語」は、勉強があまり得意ではない子どもにとって取り組みやすい教材かと思います。
画像引用:「やさしくはじめる入試問題の解き方 英語」学研出版サイト
【おすすめポイント】
巻頭には「英語の入試問題はこう出されます」という入試に向けたアドバイスの特集があります。例題と解説、練習問題、入試模擬テストと一連の内容が含まれており、あまり勉強が得意ではない子どもでも、「受験ってこういうものなんだ」と理解するには最適な教材かと思います。
オンライン教材
オンラインでダウンロードできる教材では、「ちびむすドリル」がおすすめです。
画像引用:「【練習問題プリント】 疑問文のつくりかた」ちびむすドリル中学生
【おすすめポイント】
様々なオンライン教材がありますが、ちびむすドリルは学びたい単元のプリントを探しやすいと思います。
また、プリントの右上には難易度を示す星マークが付与されており、子どもにとって最適なプリントか否かがすぐに理解できる点も非常に丁寧で良いと思っています。
動画教材
動画で勉強したい!という子どもには、映像授業 Try ITがおすすめです。
画像引用:「Try IT」株式会社トライグループ
【おすすめポイント】
1授業が約15分のため、飽きずに見ることができます。また、単元ごとにきちんと動画があるため、「わからない部分があるけど解説が見つからない・・・」といったことがなく、網羅的に学習できる点も魅力的だと思っています。他にも個人で解説動画を作っている方も多くいらっしゃいますが、網羅性を考えると本動画をおすすめしています。
まとめ
今回は、LFAの福田さんに子どもの学力に合わせたおすすめの英語教材について伺いました。
上記の通り、おすすめの教材を載せてはいるものの、子どもによって合う教材・合わない教材は違います。まずは子どもの学力を把握し、子どもと相談しながら教材を選んでいけると良いですね。
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